フランシウム87

南フランスに住む日本人学生が発信するブログ。

寒いフランスではこう言おう!冬に使えるユニークな言い方

sponsored link

フランスにも秋の訪れが感じられるようになりました。

緯度でいうと、パリは北海道と同じレベル。暖かいと思われがちな南フランスも、実は防寒対策がなっていなくて家の中はすきま風だらけなので意外と寒いものです…

 

さて今回は、そんな寒いフランスで使える言い回しを紹介します。

あなたなら、「寒っ!」をフランス語で何と言いますか?

 

f:id:bantan19:20180927170225j:plain

 

 

フランス語で「寒い」は何という?

 

外国語の勉強するにあたって、天気の話題は初級中の初級。「今日は寒いです。」という例文はどんな参考書にも載っていますね。

 

そう、フランス語で「寒い」は froid という言葉を使って表します。

例えば、「今日は寒いです。」は Il fait froid aujourd'hui. となります。

フランス語では天候に関することは動詞faireをつかって言い表します。

天気が良ければ Il fait beau. 天気が悪ければ Il fait mauvais.

正式な言い方ではありませんが、良い (beau) という単語が「(容姿が)良い」という意味でもあるため、その反義語を用いて天気が悪いことを Il fait moche.(醜い天気)と言ったりもします。

 

そもそも froid は性数によって変化する形容詞です。天気 temps は男性名詞なので特に変化しませんが、例えば température などの女性名詞の場合は froide と最後に e が付くので注意しましょう。

そしてfroidという形容詞はとても幅広く使える言葉です。

例えば人の性格を指すときに「あいつは冷たい奴だ。」というふうに使うことができますし、レストランでの冷菜は plat froid と言います。ハイフンで繋がった sang-froid という単語は「冷静・平静」を意味し、本や新聞など様々な文章の中で見かけることがあるので覚えておいて損はないでしょう。

 

特に僕が好きな froid は、フランス人作曲家のエリック・サティが作曲した「冷たい小品」 (原題:Pièces froides)です。

そのなかには「逃げ出させる歌」(Airs à faire fuir) と「ゆがんだ踊り」(Danses de travers) のという2つの組曲が含まれています。この曲を聴いていると、froid の持つ意味がより広がりを持つように感じてきます。

 


Satie - 2 Piéces froides No. 1: Airs a faire fuir

 

鴨の寒さ

 

さて、本題に移ります。

「寒い」という方法は、実は il fait froid 以外にもあるのです。

例えば、Il fait froid de canard. 直訳すると「鴨の寒さだ」というのを聞いたことはないでしょうか?意味は、「とても寒い」です。

鴨なのに寒い?なんのこっちゃ??と思うかもしれませんが、これはフランス語の慣用句の一種だと思ってください。鴨は9月中旬から冬に狩りの獲物となる、川や湖、池などに住む生き物です。漁師たちはこの鴨をしとめるために、冷たい水辺で狩りをしなくてはいけません。あたりの水面は凍っていて、しんと静まり返った冬の湖畔…

そんなイメージから「鴨の寒さ=とても寒い」となったのです。

 

ちなみに、鴨は冷たい水中に体をつけてもスイスイ泳いでいます。

ふつう動物の脂(バターやラードなど)は温めると溶けて冷やすと白く固まります。脂の溶けだす温度のことを融点というのですが、鴨の脂は他の動物の脂と比べて融点が低いことが知られています。融点が高かったら、少し寒くなっただけで脂肪がガチガチに固まって泳ぎにくくなってしまいますからね。

そのため、鴨肉の脂は比較的低温でも美味しく感じることができます。オードブルの鴨肉が冷たくても固くなくて美味しいのは、これが理由です。

以前このブログでも、鴨の脂を使ったパウンドケーキを紹介しました。字面だけみると気持ち悪そうな感じがしますが、実際多くの人に試食してもらったところ美味しいとの返事をもらいました。鴨肉には体にうれしい効果もあるので、ぜひ試してみてください。

こちらの記事で詳しく説明しています。

 

francium87.hatenablog.jp

 

酒井??フランス人が「サカイ!」と叫ぶもう一つの理由

 

サッカーでマルセイユのチームに所属している酒井選手をご存知でしょうか。

僕はスポーツ全般まったく興味が無いので詳しくないのですが、そんな僕でも名前を聞くほどフランスで人気の日本人プレイヤーです。

さて、そんな酒井選手がインタビューを受けたこんな動画があります。

 


Quand "ça caille" amuse Sakai

 

20秒あたりから「マルセイユの言い回しで何か知っているものはありますか?」と聞かれ、「やっぱり、Ça caille じゃないですか…」と答えています。

そう、この Ça caille. も「寒い」という意味で使われる言葉なのです。

caille の部分は nouille や paille と同じように、最後は「ユ」に近い音で終わるため、ça caille を実際に発音するときは「サカイユ」のような発音になります。

しかし、南仏では限りなく最後の「ユ」が消えて「サカイ」と発音する人が多くいるのです。実際に、この動画の中でも仏語翻訳している人は「サカイ」と発音しています。

そのため、フランス人はサッカー選手の Sakai と、「寒い」を意味する Ça caille. の2つの「サカイ」を叫ぶという訳です。

この Ça caille! という言葉、実際に発音してみるとよくわかると思うのですが、とても威勢がいいんですね。なので、暖かい屋内から凍てつくような寒さの戸外に出た時に、日本語で思わず「寒っ!」って言ってしまう時のような勢いの良さがあるのです。ここは、主語+動詞+形容詞ときれいに並べた Il fait froid! には無いスピード感があります。

 

ちなみに、名詞で caille はウズラを意味します。鴨に続いてまた鳥か!?と思うかもしれませんが、この言い回しは鶏とは関係ありません。

そうではなく、動詞 cailler が言葉の由来です。cailler は凝固するという意味があり、本来は牛乳や血などが固まる様を表します。例えば豆腐を意味するときに "Le tofu est du lait caillé de soja." と言うことがありますし、血塊のことはcaillotと言います。

転じて、(凍り)固まるほどの寒さが Ça caille! の意味の元となりました。

 

南仏の方々は、パリで「サカイ!」と発音すると一発で南から来たことがばれるので、場合によっては気をつけましょう(笑)

 

 Argotは不要というけれど…

 

みなさんはargotという言葉を知っていますか?

簡単にいってしまえばフランス語のスラングです。

例えば、車のことをbagnolといってみたり、(気をつけて)見るということをgafferと言ったりするものです。

フランス語の語学学校でまなく機会はまず無いですし、一般的にこれらの言葉は美しくない若者言葉として受けとめられるので、多くの人は「知っているに越したことはないが、わざわざ使う必要のない言葉」と言っています。

 

しかし、今回紹介したÇa caille!のように、くだけた言い回しが逆にシチュエーションをピタリと言い当てるということもあるように思います。

のべつ幕なしにargotを使いつづけるというのもあまり感心しませんが、ここぞという時にこちらからあえてくだけた言葉を使うのはアリだと思います。

 

ただ、問題なのはargotを覚えると言うことは、単純に考えて覚えるべき単語の数が2倍にも3倍にも なるということです(笑)

やはり、フランス語学習の基本は暗記なんですね。

 

おわりに

 

この記事を書くにあたって調べていたら、フィガロ紙が冬の寒さを表す5つの言い回しを掲載しているサイトを見つけました。

冬の寒さが本格的になる前に覚えておいて、是非今年の冬に役立ててください^^

 

www.lefigaro.fr