フランシウム87

南フランスに住む日本人学生が発信するブログ。

200kmの移動を1€で┃南フランスでぶらり電車の旅

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何かと物が安い南フランス。

決してフランスの物価が安いというわけではないのですが、学費がほぼ無料のようなものだったり、何かのアクティビティにかかる費用が安かったり…というのは、全体的な出費をかなり抑えることになります。

殊、南仏に関しては公共サービスの類がかなり安いと思います。

 

僕の住んでいる南仏・モンペリエ市が含まれるラングドック・ルシヨン圏では、なんと電車が1€で乗ることができるのです。今回、この1€鉄道を使ってモンペリエ市から200km離れた町まで行ってきたので、その旅行の簡単な紹介と、この1€鉄道を使ってみたい人のためにいくつかの注意点を紹介したいと思います。

 

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1€鉄道とは?

 

電車に1€で乗れるとはにわかに信じがたい話ですが、ここ南仏ではあり得ることなのです。

南仏と言っても、マルセイユやニースが位置するイタリア寄りの南仏ではありません。僕がいるのはスペイン側の南仏で、モンペリエ、ベジエ、セット、カルカッソンヌ、ペルピニャン…などがあります。スペイン方面に進むにしたがって、次第にカタルーニャ文化の香りが濃くなっていく、面白い地方です^^

このスペイン側南仏の地中海沿いの地域は、ラングドック・ルシヨン圏という名前です。日本でも「ラングドック地方」として、特にワインの分野では知られた名前です。このラングドック・ルシヨン圏内を走る鉄道は、先着順で枚数に限りがあるのですが、地域内であればどこに行っても1€のチケットを売り出しているのです!

もちろん、このチケットにはTGV(フランス版新幹線)などの特殊な電車は含まれません。鈍行の列車しか選べないようになっているのですが、どうせ1€だし、ゆっくりとした旅を楽しむにはもってこいなのです。

 

ちなみに、ラングドック・ルシヨン圏よりはやや範囲が狭くなりますが、モンペリエ市が含まれるエロ―県内ではバスがどこへ行っても一律1€です。こちらは席数に制限はありません。

francium87.hatenablog.jp

 

200kmの移動を1€で。行けるところまで行ってみた

 

というわけで、今回はこの1€鉄道を使って、僕の住んでいる街から行ける範囲で一番遠い町、セルベールに行ってきました。

 

以下の1€鉄道のサイトに表示されている地図を見るとわかるのですが、モンペリエ市はラングドック・ルシヨン圏のなかでもかなり東に位置しているので、今回は西へ行ってみることにします。

セルベールという小さな港町はラングドック・ルシヨン圏の最西南端の町なのですが、同時にフランスの最南端の町の一つでもあります。なので、セルベールの次はスペイン側の町となってしまうのです。

 

www.train1euro.fr

 

モンペリエからセルベールまでは200km程度の距離があります。これを東京駅始点で考えると、富士山を越えて、静岡県の焼津港あたりまで行ける距離です。日本の鉄道だったら、普通列車で3000円ちょっとかかるみたいですね。

 

移動時間はおよそ2時間30分。友達とおしゃべりして、ちょうど秋から冬へと移り変わる南仏のブドウ畑、干潟、山と海の風景を眺めているうちに、あっという間に着いてしまいました。

 

 

鄙びた港町、セルベール

 

ついて見てわかったのですが、セルベール自体にはあまり見るべきところがありません(笑)街中を歩いていたら、通りがかりの人に「セルベールにw 観光に来たのwww ププッ」みたいな感じで笑われてしまうほど。自虐的な町なんですね。

一緒に言ったフランス人の友達も、南仏と言っても大体みんなが観光として行くのは、セルベールの手前のペルピニャンかコリウール辺りが限度で、わざわざこんな辺鄙なところに来る人はいないよ。とのことでした。

 

しかもこの日は11月1日。フランスの祝祭日にあたるTousaintの日だったので、開いているレストランもほんの数件という見事な過疎っぷり。

とはいえ、どんなに寂れていてもここは南仏の町。この日は地元の猟友会が主催する、ライブ音楽で踊りながらイノシシ肉を食べようという、かなりアグレッシブな会イベントも開催されていました。南仏人の食に関する意識の高さは驚くべきもので、今回のイノシシとダンスを組み合わせるという、もはやアクロバティックともいえる試みには笑わずにはいられませんでした^^

 

今回は一緒に行った友達の中にムスリムの友人がいたので、僕たちは町の中心地にあったカタルーニャ料理のレストランで腹ごしらえをすることに。

 

最近、独立関連のニュースでホットになった「カタルーニャ」ですが、この地域・民族は調べれば調べるほど興味深いものです。

 

僕は一応スペインにも留学していたことのある料理人として、カタルーニャ料理についても調べているのですが、なかなかコレといった定義が見当たらないんですよね。もちろん、カタルーニャ地方の特産物を使った料理であればカタルーニャ料理という事もできるのでしょうが、現在カタルーニャ料理として紹介されているレシピの中には、実は違う地方発祥の料理だったというものもあり、何をもってしてカタルーニャ料理であるか判断するかが難しいのです。でも、「これがカタルーニャ料理だ」といって出されてしまうと、我々は意外とあっさり、「これがカタルーニャ料理なんだ」と理解して飲み込んでしまいます。

これを料理から文化、民族に置き換えて考えてみると、この「何をもってしてカタルーニャとするか」というポイントは、結構みんな見逃しているんじゃないかなぁーなんて思ったりもするのです。

 

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セルベールという地も、その昔はカタルーニャの領土の一つだったのです。もともとカタルーニャの領土は、現在のスペインとフランスの両方にまたがる形で展開されていたので、フランス側の地中海沿いの少なくない地域はカタルーニャ領だった歴史があります。

スペインのカタルーニャ地方の人たちは、言ってしまえばスペイン中央政府と対立する位置にいるので、往々にして過激な言動が見られます。しかし、フランスの"カタルーニャの人たち"は、別にフランス中央政府に反発しているわけではありませんし、ましてやスペイン中央政府と対立しているわけでもないのでないので、ゆるやかなカタルーニャ人としての自覚を持っている様なのです。実際にセルベールからペルピニャンまでの、きわめてスペインに近い地中海沿いの町々ではカタルーニャ語表記の案内板が多く、また、街中でもカタルーニャ語を耳にすることがあります。今回行ったセルベールのレストランの女将さんも、フランス語も標準スペイン語(カステジャーノ語)もカタルーニャ語も(ちょっとだけオクシタン語も)話すことができると言っていました。しかし、最近のバルセロナでよくみられる、こっちがカステジャーノ語で話しかけているのに、頑としてカタルーニャ語で返事をしてくる、といったことはなく、僕たちとは普通にフランス語を話していました。隣のテーブルのカステジャーノ語を話す夫婦とは、普通にカステジャーノ語で話していました。こんな感じで、フランス側のカタルーニャ武運化を自覚している人々は、意識がとっても緩やかなのです。もちろん、彼らの大多数に独立意識はありません。

また、興味深いことにこの地域の人たちの中は、オクシタニの人という自覚もあるようなのです。オクシタニというのは、フランス南部でもともとオクシタン語が話されていた地域の事を指します。このオクシタニも独自の文化が存在します。日本でも人気の化粧品メーカー「ロクシタン」の名前は、もちろんこのオクシタニが由来です。

つまり、フランス南部の町というは様々な文化の上に存在しているという事になります。僕たち旅行者は、そういう土地に行って、そこで話されている言葉、演奏される音楽、歴史、気候、あらゆるものを観察・吟味することで、まるでミルフィーユのように重なりあった「文化」を、少しずつめくって、その内側を楽しむことができるのです^^

 

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「僕たちはオクシタニ人じゃない…カタルーニャ人だ!」と書かれた車のステッカー

 

 

フランスとスペインの国境まで登ってみた

 

特にすることがなかったので、国境を見るためにちょっとした山登りもしました。セルベールの町から、往復約2時間。国道沿いを歩いて国境を目指します。

 

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かなり険しい傾斜なのですが、途中から車が走る国道から離れて歩行者だけのハイキングコースのようなものも設けられていました。この道を上ると、車で行ける国境とは別の、とても静かな峰にたどり着きます。

 

こちらがCerbère。フランス側です。右に見えるのは地中海です。

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そして、こちらが同じ地点からスペイン側のPortbouを撮ったもの。左側が地中海です。

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写真だとあまりよく見えませんが、スペイン側の急な斜面はすべてサボテンで覆いつくされていました。なんだか自然にできた国境の越えを阻む障害物のようです。そう言えば、先日、カタルーニャ地方のオロ出身のおばあちゃんと話をする機会があったのですが、そのおばあちゃん曰く、スペインが独裁制だった70年代くらいまでは、スペイン人は検閲の緩いフランスへ娼婦を探しに来ていたのだそうです。その後、スペインに民主化が訪れてからは、この人の流れは逆転したそうですが^^そんな時代に、このサボテンたちは不届きな越境者たちの行く手を阻んでいたのでょうか。。。

対して、フランス側の傾斜にはサボテンが1本も生えていないのです。おそらく、スペイン側の方は、午後のあいだたっぷりと日が当たるのでサボテンにとって育ちやすい環境なのでしょう。

 

1€鉄道で行ける観光地

 

上に紹介した1€鉄道のサイトの地図を見るとわかると思いますが、1€で行ける観光地は意外と多くあります。

 

まず、僕の住んでいるモンペリエ。決して観光地と言えるような街ではありませんが、エロ―県最大の町なので、何かしら見るところはあります。

モンペリエを起点に東に行けば、ローマ時代の遺跡が残るニームに行けます。さらに東には、西方カトリック教会が分裂したとき(14-15世紀の大シスマ)に、対立教皇教皇庁を置いたアヴィニョンがあります。

西に進めば、風光明媚な港湾都市セット。進撃の巨人の舞台ではないかと言われる要塞都市カルカッソンヌなどがあり、その間にはベジエやナルボンヌといった街があります。そこから今度は南に折れてスペインに向かう途中、カタルーニャ文化が色濃く残る地方として名高いペルピニャンや、フォービズムの始まりとなったコリウール、そしてフランス地中海川最南端の町であるセルベールへとつながります。

 

これが全て1€で行けるのだから、驚きです!

 

 

1€鉄道で行ける空港

 

さらに1€鉄道を活用する上級者テクとして、空港までの交通手段として使う方法があります。

これは何かというと、ヨーロッパにはRyanairやeasyjetに代表されるような1000円くらいから乗ることのできる超格安飛行機が飛び回っているのですが、これらの飛行機は地方の人気のない小型空港を使うことが多く、空港までのアクセスがネックなのです。(だからこそ低価格を維持できているのですが…)

そういったアクセスの悪い空港まで、この1€鉄道で行くことができれば、交通費1€+格安航空券で、驚くほど安くヨーロッパ内の旅ができてしまうというもの。

 

例えばベジエ空港からスウェーデンストックホルム行きの飛行機、カルカッソンヌ空港からポルトガルポルト行きの飛行機が格安で飛んでいるので、利用価値は大きいと思います。

ただ、問題点としては、フランスの電車はほぼ100%定刻で来ることはないので、かなりゆとりを持ったスケジュールを組まないと、飛行機の出発に間に合わない恐れがあるという事です。

 

 

1€鉄道を使う際の注意点

 

お得感満載の1€鉄道ですが、気を付けなければならない点がいくつかあります。

 

まず、座席数が限られているという事。

1€鉄道のチケットはネット購入可能ですが、出発日の3週間前から購入可能になります。しかし、場所によっては販売開始後すぐに売り切れになってしまうこともあるので、しっかりと計画して購入しなくてはなりません。

 

チケットは必ず紙に印刷すること。

予約後に確認のメールでPDF形式のチケットが送られてきます。これは紙に印刷しなくてはなりません。このご時世に紙に印刷だなんて…と思うかもしれませんが、フランス人は書面でやり取りするのが大好きです。彼らの前世はヤギなのです。サイトの注意書きにも書かれていますが、車内検札の時に、スマホタブレットの画面で送られてきたPDFを提示するだけでは認めてもらえず、罰金を払うことになります。

 

返金・交換不可。

まぁ1€なので、返金されなくても特に凹むことはありませんが、気を付けたいのは誰かに譲渡するのもダメだという事です。チケットの予約の際には、乗車する人のフルネームと生年月日も入力することになるので、これが身分証と一致しなくてはなりません。よって、他に人にチケットを譲るという事ができないのです。

 

 

おわりに

 

前回書いた100kmの移動を1€でぶらりバスの旅の上を行く、200kmを1€で行くぶらり鉄道の旅。僕みたいに暇人でないと、なかなか前もったチケットの予約、旅行の予定を立てることは難しいと思いますが、それが可能であればぜひ活用してもらいたい南仏のサービスです!

 

 

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