TCF-DAPのB2を目指す人へ┃4つのアイデアで得点をあげよう!
毎年2月に、フランス大学1年目、もしくはPACESに入学を希望する人向けにTCF-DAPという試験が実施されます。
フランスに留学を希望する場合は、この試験でB2以上のスコアをとる必要があります。
TCF-DAPでB2をとるには、どうしたらいいのでしょうか。
mokuji
こんな質問をいただきました
先日、このブログにこんな質問が寄せられました。
2月にTCF-DAPを受けます。医療系に進みたいと思っています。毎日dicteeをやっているのですが、先日のTCF聴解、(@Л@)でした。聴解>作文>読解の順で困っています。限られた期間でなんとしてもB2レベルを取りたいのですが、効率的な勉強法がありましたら教えてください。
先に断っておきますが、僕はB2のディプロムをDELFでは持っていますが、TCFとTCF-DAPでは持っていません。また、以前にTCF-DAPを受けた経験はあるのですが、3年前のことです。
そのことを承知していただいたうえで、この先僕が考えたTCF-DAP対策方法を読んでもらえればと思います。
B2を戦略的に考える
どうしたらB2レベルが取れるのか。
一応、B2のレベルというのは次のように決められています。
Intermédiaire avancé
Maîtrise générale et spontanée de la langue. La personne peut comprendre l’essentiel d’un texte complexe. Elle peut participer à une conversation sur un sujet général ou professionnel de façon claire et détaillée en donnant des avis argumentés.
しかし、これだけでは具体的にどれだけの問題をこなせばいいのかわかりません。
そこで、採点基準を見てみました。
Comment sont calculés les scores figurant sur l’attestation de résultats ?
ちょっとごちゃごちゃしてますが、簡単に言うと「問題の難しさに応じて点数の配分が違う」ということだそうです。
TCFの例題が掲載されているフランス・ラジオのサイトでは、リスニング用の問題が16題用意されています。試しに過去2年分を受けてみたのですが、問題の難しさはおおむね問題が進むにしたがって上がっていると思います。(中には簡単なレベル設定の問題でも、アクセントがきつくて聞き取りにくいものもありました)
この16題のうち、どこまで正解すればB2レベルというのは判別が難しいと思います(「問題の難しさに応じて点数の配分が違う」ため)。僕が得た感じでは、大体10-11門の正答率でB2くらいじゃないかと思います。
すべてやりきろうとしない
TCFの問題はレベル別に用意されているわけではありません。すべての人が同じ試験問題を解き、その正答率からレベルが判定される仕組みになっているのです。
ということは、B2が欲しければ、それ以上のC1やC2の問題は解く必要がないということです。しかし、どこかに明確なレベルわけのボーダーラインが引かれているわけではありません。
でも、安心してください。B2とC1の間にはかなり大きな差があるので、B2に挑もうとしている人は全力投球してやっとB2レベルだと思います。
ということは、次の2つのことが言えます。
まず、時間の制約・文字の多さでどう考えても解く時間のない問題は省いてよいでしょう。読解であれば、最後の2-3問は問題文の長さがおおいはずです。ここに時間を割くよりも、他の問題に時間を回したほうが良いと思います。
また、つまらない凡ミスが命取りになりかねません。後半のいくつかの奇特な問題を除くと、それ以外はすべてB2レベルに求めらる問題となります。であれば、これらの問題を(特に最初のほうの簡単な問題を)間違えてしまうという事はかなりリスキーなことです。
落ち着いて取り組むようにしましょう。
リスニング問題は得点に結びつきにくい
フランスに住んでいて毎日フランス語を耳にしていれば話は別ですが、そうでなければリスニングの点数を上げるというのは結構難しいことだと思います。
リスニング対策で考えられる対策方法は2つ。
ひとつはシャドーイングをただひたすら頑張ることです。
リスニングの問題というのは細やかな語彙の聞き取りはもちろんのこと、全体としての内容把握も重要なポイントになります。
実際にフランス・ラジオの例題を解いてみればわかると思いますが、リスニングの問題には、放送文中に出てきた単語を正確に聞き取ることを求められる問題と、放送分全体が何を言いたいのかを訪ねてくる問題の2種類があります。
そのためには、シャドーイングをしてリエゾンやアンシュヌマンの中に埋もれてしまっている単語を正確に発掘する力と、フランス独特の流れるような話し方についていく力をつけなくてはなりません。
シャドーイングについて、詳しくはこちらを参照してください。
もう一つの対応策は、リスニングを捨てる、です。
捨てるといっても、完全に放棄するわけではなく、頑張れるところまではやってもらいたいのですが、上にも書いたようにリスニングは得点に結びつけにくい分野なのです。
そうであれば、リスニングの勉強にかける比重をいくらか軽くして、他の分野、たとえば単語の暗記などに比重を置いたほうが賢明ではないでしょうか。
さっきもフランス・ラジオの例題を解いていて思ったのですが、やはりフランスにある程度住んでいて、大学にも毎日通っているとある程度は語彙力が付いてきたようで、放送分を聞く前にすばやく選択肢を読んでしまうことができたんですね。これ、多分3年前の僕には全くできていなかった部分です。
何が変わったかというと、自分の頭の中の語彙数でしょう。設問に先に目を通すことができれば、これから放送されるテーマをある程度予測することもできるので、一石二鳥です。
作文で差をつけよう
逆に、得点に結びつけやすいのは作文です。
他の問題はすべて提示された問題を解く「受け身」の姿勢であるのに対して、この問題だけは唯一「攻め」でいけるところです。
あなたの考えを、あなたの文法力・語彙力を駆使して、どこまでも質を上げることのできる部分です。
ちなみに、作文の方法にも実は各レベルごとの違いというものがあり、レベルが上がるにつれて文章構成の質が格段に良くなります。
B2であれば、少なくとも「明確な問題提起」「適切なコネクターを使った、文章間のスムーズさ」「"導入→本文→結論"の単純な構成」くらいは求められます。
この土台がしっかりとできていれば、あとは自由に単語の言いかえを使って語彙のバリエーションを豊かにしたり、論展開をより発展させたり、と様々な応用を使って点数を稼いでいくことができるのです。
そのためには、自分が使いやすい汎用性のあるフレーズなり文章構成なりを予め考えておくといいですね。どんな題が来ても、certes...mais...を使って譲歩しながらも反論を展開するなんて言う、フランス人が好きそうなテクはぜひとも十八番にしておいてもらいたいと思います。
おわりに
長くなってしまいましたが、質問の答えは、
①シャドーイングでリスニング対策を進めながら
②作文力をあげることで、2つの分野の得点をあげるようにする。
③すべてのベースとなる単語の勉強は、常に続けるよう心掛ける。
です。