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フランシウム87

南フランスに住む日本人学生が発信するブログ。

もうすぐ解禁だよ!(フランス人は飲まない)ボジョレー・ヌーヴォー!

グルメ

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フランスに興味があってもなくても、ワインが好きでもそうじゃなくても、誰しもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

「ボジョレー・ヌーヴォー解禁!」

日本ではスーパーやコンビニでも、この日のために先行予約を宣伝していますよね。「この日」というのはいつでしょうか。そう、毎年11月の第3木曜日。

普通は長く寝かせたワインがヴィンテージものとして美味しいといわれているワインの世界において、9月ごろに収穫したブドウを速攻でお酒に変えて瓶詰めして売り出すなんて、ここまで騒がれるほど美味しいそうな理由が見当たりません。いったいどうしてそこまでボジョレー・ヌーヴォーが宣伝されているのでしょうか。

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 mokuji

 

 

 

美味しい?美味しくない?ボジョレー・ヌーヴォーっていったい何?

 

ボジョレーというのはフランスの町の名前です。

フランス南東部に位置していて、ワインの産地として有名な場所なのです。

 

ヌーヴォーというのは、フランス語で「新しい」という意味。アール・ヌーヴォー(新しい芸術、の意)という言葉の中にも出てきていますね。

 

この2つの単語をつなげて、「ボジョレーの新物」、つまりこの年に収穫されたブドウで造ったワインの初物という事でボジョレー・ヌーヴォーは生産・消費されるのです。

 

日本料理の話になりますが、食材には旬というものがあります。鮎だったら初夏から夏にかけて、イノシシは秋の実りをたっぷり食べた後の12月からがおいしいといわれています。旬よりも一足早く、市場にその食材が初めて並ぶころのことを「はしり」といい、旬が過ぎた後の、もう市場に出回るのもこれが最後か、というタイミングを「名残り」とも言います。日本料理を食べに行くときには、是非覚えておきたい3つの食材のタイミングです。

「はしり」の場合、野菜であればまだ栄養価が高くなく本来の味が強く感じられなかったり、肉や魚の場合は脂がのっていなかったりします。つまり、味が「薄っぺらい」という事が往々にしてあります。それでも、なぜ私たちは「はしり」の食材をわざわざ食べるのか。それは、その食材を食べることによって、この季節が来た、ということを実感したいからということに他ならないと思うんですね。初物を食べて季節を感じる、と言っても良いでしょう。

 

少し話がそれましたが、ボジョレー・ヌーヴォーも本来は「はしり」と同じ意味合いがあったと思うのです。実際、ボジョレー・ヌーヴォーはワイン生産者・販売者の間で、その年のブドウの出来を確かめる、一種の「ものさし」として使われていた側面があります。つまり、「寝かせることで価値が出る」ようなワインとは、根本的に違う属種のワインであるという事を理解しておく必要があるのです。ボジョレー・ヌーヴォーを例えるならば、そう、その年のブドウの出来をチェックするリトマス試験紙といった感じでしょうか。

 

 

 

日本でモテてるボジョレー・ヌーヴォー

 

つまり、端的に言ってしまえば、ボジョレー・ヌーヴォーは一般的なワインが持つようなワインの美味しさというものがないのです。軽くて薄い、アルコール配合のブドウジュースです。

 

とはいっても、誤解してほしくないのですが、ボジョレー・ヌーヴォーがまずいと言っているわけではありません。(中にはまずいのも存在するとはおもいますが…それは個人のし好の問題です。)言い方を変えれば、ボジョレー・ヌーヴォーは軽やかなので、例えば仲のいい間柄でわいわい話しながら飲むには良いワインだともいえるのです。眉間に皺を寄せて、ワイングラスの中をクンクンするようなものではありません。

 

だから、ボジョレー・ヌーヴォーは、みんなで楽しく飲めるポテンシャルを持っているお酒なんですね。

 

しかし、日本ではどこをどう間違えたのか、ボジョレー・ヌーヴォーにブランド価値が添加されて売り出され、一部のワイン好きの人は本気でボジョレー・ヌーヴォーをアナリーズ(分析)しようとする人が出ているくらいなのです。

 

もう一度言います。ボジョレー・ヌーヴォーは初物ワインをただ楽しむためだけのものです。節分の恵方巻と同程度のインパクトでしょう。

 

 

ボジョレーを✖愉しむ→〇楽しむ人になる

 

だからといって、ボジョレー・ヌーヴォーを買うなんてこいつワインの事何にも知らないんだwwwと言いたいわけではありません。僕だってワインよく知らないですから。ただ大量に飲んでいるだけで^^

むしろ、ボジョレー・ヌーヴォーを買って、みんなでわいわいワインを飲んでもらいたい。そして、ちょっといい感じのソーセージとか生ハムとか、そういったおつまみを一緒につまみながら、「今年の冬はどこかおいしいレストランに行きたいねー」なんていう会話を友人としてほしいです。ナチュラルチーズ専門店の『オーダーチーズ・ドットコム』ではボジョレー・ヌーヴォーに合うチーズが簡単に探せます。そう、ボジョレー・ヌーヴォーはこれから始まるガストロノミーの季節の「はしり」の味なんですよ。

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そして、あわよくばボジョレーというワインの産地に興味を持っていただけたならば、今度はヌーヴォーではない、つまり「新酒」ではないボジョレーのワインも味わってもらえると嬉しいです。というのも、ボジョレー・ヌーヴォーはワインであってワインに非ず、ということは先ほど話した通りなのですが、ボジョレーで生産されている「ヌーヴォー」でないワインの中には、いい意味で予想を裏切るようなものもあるのです。

ボジョレーで作られるワインにはガメイ種というブドウが使われていて、このブドウから作られたワインはフレッシュで渋みのないものになり、一般的に「飲みやすいワイン」になると言われています。「飲みやすいカメ(ガメイ)」と覚えていただければ幸いです。

だがしかし、日本でインポートされているボジョレーのワインが、このガメイ種のプロフィール通りの味を持ったワインに限られているのかどうか知りませんが、ボジョレーのワインの中には豊かな味わいと渋みを持ったワインも存在するのです。そこまでしつこい香りというものもなく、飲み疲れのしないワインで、決して悪くないのですね。そして、お値段も総じてお手頃。

 

というのも、先日、友人のボジョレーマニアに呼ばれて、歴代のボジョレーを飲むというチャンスがあったんですね。過去のワインの中には、確かにボジョレーやガメイ種のイメージとは似ても似つかないような豊かな味を持ったワインもありました。

そんな友人に、日本でもボジョレーのワイン有名だよ~ヌーヴォーだけだけど~^^って言ったら、「なんで日本人はヌーヴォーしか飲まないんだ!?why japanese people!?」(一部、脚色してます)と激しく怒られました。僕のせいじゃないんだけど。コマーシャルのせいなんだけど。

 

 

 

ボジョレー・ヌーヴォーの過去の評価

 

そんなボジョレー・ヌーヴォーの出来については、毎年審査委員からの評価が出されています。また、販売者からの評価も出されているのですが、これがかなり笑えるのです。

まずは販売業者からの評価。

  • 1983年「これまでで一番強くかつ攻撃的な味」
  • 1985年「近年にない上物」
  • 1992年「過去2年のものよりフルーティーで、軽い」
  • 1995年「ここ数年で一番出来が良い」
  • 1996年「10年に1度の逸品」
  • 1997年「まろやかで濃厚。近年まれにみるワインの出来で過去10年間でトップクラス」
  • 1998年「例年のようにおいしく、フレッシュな口当たり」
  • 1999年「1000年代最後の新酒ワインは近年にない出来」
  • 2000年「今世紀最後の新酒ワインは色鮮やか、甘みがある味」
  • 2001年「ここ10年で最もいい出来栄え」
  • 2002年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄えで1995年以来の出来」
  • 2003年「110年ぶりの当たり年」
  • 2004年「香りが強く中々の出来栄え」
  • 2005年「タフな03年とはまた違い、本来の軽さを備え、これぞ『ザ・ヌーボー』」
  • 2006年「今も語り継がれる76年や05年に近い出来」
  • 2007年「柔らかく果実味豊かで上質な味わい」
  • 2008年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
  • 2009年「過去最高と言われた05年に匹敵する50年に一度の出来」
  • 2010年「2009年と同等の出来」
  • 2011年「100年に1度の出来とされた03年を超す21世紀最高の出来栄え」
  • 2012年「偉大な繊細さと複雑な香りを持ち合わせ、心地よく、よく熟すことができて健全」
  • 2013年「みずみずしさが感じられる素晴らしい品質」
  • 2014年「太陽に恵まれ、グラスに注ぐとラズベリーのような香りがあふれる、果実味豊かな味わい」
  • 2015年「過去にグレートヴィンテージと言われた2009年を思い起こさせます」  -wikipedia

 

 そして、ボジョレーワイン委員会の品質予想。

  • 2002年「色付きが良く、しっかりとしたボディ」
  • 2003年「並外れて素晴らしい年」
  • 2004年「生産者の実力が表れる年」
  • 2005年「59年や64年、76年のように偉大な年の一つ」
  • 2006年「とてもうまくいった年」
  • 2007年「果実味が豊かでエレガント」
  • 2008年「フルーツ、フルーツ、フルーツ」
  • 2009年「数量は少なく、完璧な品質。桁外れに素晴らしい年」
  • 2010年「果実味豊かで、滑らかでバランスの取れた」
  • 2011年「3年連続で、偉大な品質となった」
  • 2012年「心地よく、偉大な繊細さと複雑味のある香りを持ち合わせた」
  • 2013年「繊細でしっかりとした骨格。美しく複雑なアロマ」
  • 2014年「エレガントで味わい深く、とてもバランスがよい」
  • 2015年「記憶に残る素晴らしい出来栄え」   -wikipedia

 

2008年の「フルーツ、フルーツ、フルーツ」とか。じゃあブドウもいで食ってろって話になっちゃうと思うんですが、どうなんでしょうね。「委員長、これやっぱマズイっすよ」っていうリスク管理的なアレはなかったんでしょうか。なんだかんだで、フランスも大変なんですね。

 

 

ヌーヴォー飲んでみてね

 

というわけで、今年の秋はボジョレーの新酒を片手に、フランスの「はしり」の味を楽しんでみるのはいかがでしょうか、というのが今回のプレゼンの総括です。

味ではないのです。ヌーヴォーを飲むことによって、その向こう側に広がるイメージの世界にとびこむ。これがボジョレー・ヌーヴォーを楽しむ、いとをかしな飲み方なのです^^

 

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