フランシウム87

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Cadavre exquis(優美な死骸)で遊んだら、シュールレアリスムのことが少し理解できた気がした件

Cadavre exquis(優美な死骸)というゲームを知っていますか?

これは、20世紀初頭に、フランスでシュールレアリスムの文化人たちが生んだゲームです。

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[:contens]

 

 

 

フランス語の授業の一環で

 

僕、最近フランス語の授業をとっているんです。

とうのも、今学期から教養文化の一環として、様々なユニークな分野の授業が選択できるようになり、「フランス語」というのを選択したんですね。

ちなみに、他には「地球外生命概論」とか「魚の眼から人間まで」みたいな名前の授業もあって興味をひかれました。

で、何でフランス語を選択したかというと、きっとこの講座は外国人留学生に向けたフランス語講座だと考えたからです。そうであれば、あまり苦労なく高得点が取れると思ったから。

そしたら、授業選択した数日後に、なんかしれーっと講座名が「フランス語」から「文章作成のアトリエ(atelier de l’écriture)」に変更されていて、授業内容も「フランスの教員採用試験で課される小論文・サンテーズも攻略するため云々…」というものに変わっていたのです。

 

教職に就きたい夢を持っているフランス人を対象にした講座だったんですね。想像していたのと全然違う…。

担当の先生と連絡を取り合ったところ、先生の感じが良かったのと、まぁフランス語そのものに興味があるならやってみれば?というアドバイスをいただいたので、とりあえずその講座に通っているところです。

 

前置きが長くなってしまいましたが、その講座内で、毎回最初にちょっとしたゲームをするんですね。それで、今回やったゲームが、この「優美な死骸」だったのです。

 

 

―遊び方は簡単

この「優美な死骸」というゲームは、フランスでシュールレアリスムの文化人たちによって生み出されたゲームです。

参加者は、自由にひとり一単語を紙に書き、それらを組み合わせて生まれる「偶然の産物」としての文章の面白さを楽しんだのです。

かれらが初めてこのゲームを黒猫(当時の文化人たちがたむろしていたカフェ)で考え付いた時に生まれた文章は、” Le cadavre – exquis – boira – le vin – nouveau”。「優美な死骸はワインの新酒を飲むだろう」だったそうです。


今回、授業でやったのは、4人のグループを作り、ひとり一音節ずつ紙に書いてゆき、そこで偶然生まれる「単語」に定義をつけていくというものです。

例えば、僕の場合は”maripore”という単語だったので、適当に

 

  1. 聖母の憐み・慈悲。(por=~によって、mari=Mariaから)
  2. 高山植物の名前。夏に白い花を咲かせる。

 

みたいな定義づけをしました。

 

 

Surréalismeシュールレアリスム

 

シュールレアリスム、日本語では超現実主義とも訳されます。

このジャンルで最も有名な芸術家と言えば、やはりサルバトール・ダリではないでしょうか。

 

僕はシュールレアリスムの絵って全く好きになれないのです。小さい頃は見て、単純に「変なの」とは思っていたのですが、まったく掴みどころのない意味が分からない絵であり続けています。

でも、今回「優美な死骸」ゲームをして、「あ、これがシュールレアリスムなのか」っていう、一瞬のひらめきがあったんです。

 

つまり、今まではシュールレアリスムっていうのは書き手が思いついたエキセントリックなイメージをただキャンバスに書いているだけだと思っていたのですが、実は、書き手すらも想像していなかったような何か、きっとそれは偶然の中から生まれるのかもしれないのですが、その小さなインパクトを描きあらわしていたのかもしれない、と思ったのです。

 

でも、その偶然って、たしかに形にするとダリの絵のような大きな印象を与えることには成功したと思うのですが、心には全く残らないんですよね。少なくとも僕にとっては。

なので、この「優美な死骸」ゲームも、とても面白くはあるのですが、だからといって後に何かが残るようなものではないのです。

 

ちなみにこのゲームは絵でもできます。この記事の頭の写真のように、一つの絵をいくつかのパートに分けて、それぞれの絵を組み合わせます。このゲーム、人によっていろいろな解釈の方法があることに気が付いて面白いので、機会があれば、ぜひ友達と一緒にやってみてください^^