海外の給食事情┃フランスの給食はフルコースって本当!?
今週のお題「給食」
国によっていろいろな違いのある給食
給食って、その国の食文化をよく表していますよね。
例えば、アメリカの給食ってこんな感じ。
予想通りのメニューって感じですよね(笑)
では、僕の住んでいるフランスの給食ってどんな感じだと思いますか?
フランスといえば美食の国。
渡仏する前には、フランスの給食はフルコースだ。なんていう噂も耳にしたんですが…
mokuji
- 国によっていろいろな違いのある給食
- フランスの給食はフルコースで提供されるのか?
- じゃーん!これがフランスの給食だ!
- 学校で食べても、家で食べても良い
- 日本の給食事情は?
- 一汁三菜の日本の給食
- 汁物もおかずの1つとカウントすると、フランスと同じ!
- フランスと日本の例から見る、学校給食の大切な役割
- フランスと日本で一番違うところは休み時間の長さ
フランスの給食はフルコースで提供されるのか?
僕はフランスに来た最初の年、5歳の男の子のいるフランス人家族の家にホームステイをしていました。
その男の子の学校の送り迎えや、散歩の面倒を見ることで家賃がただだったんです。
男の子のベビーシッティングをすることは、フランス人の生活環境を知ることのできるいい機会でした。
当時、その男の子は家の近くにある幼稚園に通っていたのですが、午前・午後の両方幼稚園に預ける日って、お昼ご飯を幼稚園で食べるか、家に一度帰って家族と一緒に食べるかが選べるんです。
朝、幼稚園に子供を預けるときに、入り口にある自動改札機みたいな機械にプリペイド式のカードをタッチすることで、その日のお昼ご飯の予約と支払いができるようになっていました。
じゃーん!これがフランスの給食だ!
これは小学校の給食じゃなくて、僕の通っている大学の学食の写真です。
でも、基本のメニュー構成は小学校の給食も大学の学食もほとんど同じです。
フランスでは学校給食の内容がちゃんと決まっていて、前菜・主菜・副菜・デザート・パンの5つで構成されているんですね。
上の写真でも、主菜と副菜(肉料理と野菜料理)はワンプレートに盛られていますが、しっかり5つの料理で構成されています。
場合によっては、ここにチーズが加わることも。チーズが欲しい場合は、前菜かデザートを減らすことになります。
幼稚園では、デザートの部分でよくフルーツのコンポートが出ていました。
コンポートだと飲み物みたいに簡単に食べることができるので、小さい子供でもあまり嫌がらずに食べてもらえるんだそうです。
この食事構成、フランス料理のコース料理と同じですよね。
一品ずつ運ばれてくるわけではないし、メニュー構成数はクラシックなフルコース(肉と魚の両方が提供されたり、肉料理の後にソルベが出されたり、アミューズがあったり…)程ではないですが、一応ちゃんとしたコース料理になっています。
学校で食べても、家で食べても良い
フランスって両親共働きの家庭が多いんです。
働く女性が多いというのが理由の一つですが、学校側もそれを十分理解しているので学校給食を用意してくれています。
これが、例えばスペインだとシエスタの文化がありますよね?
シエスタって、本来、あまりにも暑すぎる午後の数時間は、仕事をしたら危険だから家でゆっくり過ごす、という理由で定着した文化なのですが、その文化の名残で(昼寝こそしませんが)昼食は会社員でもオフィスから家に帰って家族で昼食をするという文化が今でも残っています。
とはいっても、現代では職場が家から遠かったり、労働時間が長かったりする影響で、昼休みに家に帰れない人も多くなっています。そもそも「昼に家に帰れない!」と不満を言っているスペイン人が多いという事は、昼食は家に帰って食べるという意識があることを表しています。
もちろん、これは会社員だけでなく子供たちも同じことで、昼食は家に帰って家族で食べ、食後の休憩をしたらみんな学校に戻っていくんです。
どうでもいいことですが、このシエスタの時間は日中の夫婦の営みの時間としても、大変重要な意味がある(あった)のだそうです。
フランスも、食事は家族と一緒に過ごす時間ととらえる人が多いので、昼食は学校給食だけでなく、家に帰って食べてもよいとされています。
日本の給食事情は?
フランスの給食はコースの料理構成だという事が分かりました。
さすが、美食の国!
(料理がおいしいか…ということは、また別の問題ですが…笑)
ではでは、僕たちの国、日本の給食はどうでしょうか?
一汁三菜の日本の給食
一汁三菜とは、
汁物1品+おかず3品(主菜1、副菜2)+炭水化物(ごはん、麺類、パンなど)
の料理の構成のことです。
他にも一汁四菜(豪華!)もありますし、昔々の貧しかった時代の農民の食事は、汁物に野菜のお浸しの一汁一菜の食卓だった、なんて言われています。
給食はバランスの取れた一汁三菜の品数を採用している自治体が多いようです。
僕が子供のころも、給食はごはん、みそ汁、それにおかずが2種類とデザート(果物)で一汁三菜でした。
汁物もおかずの1つとカウントすると、フランスと同じ!
フランスの給食ってコース料理!すごい!
って思ってましたが、日本の給食も品数を数えてみたら同じでした。
日本も食文化は大事だと考えている国の一つなので、給食の構成にも力を入れていたんですね。
大人になって初めて気が付きました…^^
フランスと日本の例から見る、学校給食の大切な役割
学校給食というのは、決しておいしいものではないですよね。
僕は好き嫌いのある子供ではなかったのですが、給食はいつも頑張って最後まで食べていた思い出があります。
フランスの給食も同じで、子供達が食べてるものを見ても、お世辞にも美味しそう!とは言えないような料理だったんですね。
上の大学の学食のプレートの写真を見てもらえれば分かるかもしれません。
でも、品数や料理の構成は、その国で育ってきた食文化の伝統に則っていることが分かりました。
日本でも、もう結構前から「食育」という言葉が使われるようになりましたが、学校給食というのはまさにその国の文化を教える一つの方法なんです。
給食費にゆとりさえあればもっと美味しいものもできるのでしょうが、誰でも食べることのできる値段を想定して、同時に文化を伝える手段にするというのはなかなか大変なことだと思います。
ちなみに、僕の大学の学食は、1食3.25€(約¥400)です。
フランスと日本で一番違うところは休み時間の長さ
食文化を伝える点では、フランスも日本も学校給食を通じて力を入れています。
でも、何が「フランスの給食」と「日本の給食」のイメージを異なるものにしているかというと、やっぱり休み時間の長さだと思うんですよね。
まぁ、小さい子供たちにとっては、食事なんて早く済ませて残りの休み時間をフルに遊びに使いたい!と考えているでしょうが、それでも2時間の昼休み時間が与えられているんです。
2時間あったら、食事して、遊んで、昼寝までできちゃいます。
いちど帰宅してお昼ご飯を食べさせても、ストレスにならない時間の長さですよね。
子供のうちから、食事=ゆっくりと休憩をとる時間という意識が形作られているんだな。と思いました。
食文化が有名な2つの国の給食事情でしたが、文化を伝えようとする学校給食としてはどちらも力が入っていることが分かります。
何が違う点かというと、給食事情ではなくて、休息事情なのかもしれないですね。