カレールゥの罠 in フランス
日本のカレーって、すごい人気ですよね。
インドやイギリスにもカレーはありますが、日本のカレーはそれらとは全く違う。独特の美味しさがあります。
日本のカレーは、もちろん海外でも「知る人ぞ知る、日本の逸品」として人気があります。カレーのルゥをお土産に買っていくと、結構喜んでくれるので便利なアイテムの一つ。
でも、ちょっと待って!あなたの買ったカレーは、フランスでは食べてもらえないかも!?
いろんな宗教の人がいます
フランスは言わずと知れた多文化国家。もちろん、宗教だっていろんなものがあります。
その中でも、少なくない人数が存在する宗教の一つにイスラム教があります。
イスラム教の人が忌避すべきもの
幸か不幸か、昨今の一部のイスラム過激派によるテロリズム騒動で、日本でもイスラム教についての報道がされているようです。(普通のイスラム教徒と、一部の過激的なイスラム教徒は同じではありません。念のため。)
でも、やっぱり未だに日本人にとってイスラム教徒の生態って、まだまだ身近な感じではないですよね。
でも、フランスにいると少なくとも知っておく必要のあることが2つあります。それは、彼らは豚肉をはじめとするHalal以外の肉を食べない、アルコールを飲まないということです。
イスラム教徒が豚肉を食べないということは、なんとなく多くの人が認識していると思いますが、豚肉以外にも食べてはいけない肉はたくさんあります。というより、むしろ食べていい肉がHalal(ハラル)として認められています。フランスではどこのスーパーでも、このHalalのマークがついた肉、加工肉製品を見かけるので、区別が楽です。
日本のアレルギー食品表示よりも分かりやすく描かれているハラルのマーク
また、彼らは豚肉アレルギーを持っているわけではないので、豚肉を食べることはできます。しかし、宗教の決まりで食べることが許されていないのです。
食べても死にはしないんだったら、ちょっとぐらい平気だろう、なんて考えてしまってはいけません。
その昔、19世紀中葉にインドで起きたセポイの乱では、イスラム教徒で構成された傭兵団が、イギリス軍から支給された弾薬を包む紙に豚の脂が使われていた(包紙を開けるためには紙を舐める必要があったため)ことを知った(もしくは、そういった噂が流れた)のがきっかけだったと言われています。ちなみに、セポイというのはイスラム教徒とヒンドゥー教徒で構成された傭兵団ですが、ヒンドゥー教徒側には、紙にヒンドゥー教では神聖とされている牛の脂が使われているという情報が流れたそうです。
これで、彼らにとって忌避すべきものを口にすることがどれだけ罪深いことなのかがわかると思います。
隠されたポークエキス
ということを念頭に置いてもらうと、僕たちは(食品アレルギーなどを持っている場合を除くと)いかに日々口にしているものに対して、食品アレルギーを持っている場合などを除いて、成分表まではあまり注視していないのではないかと思います。
だって、日本で普通に売られているカレーのルゥには、基本的にポークエキスが入っていますからね。
鶏肉でカレー作って「チキンカレー!」とか言っていても、そもそもカレーのルゥに豚が使われているのです。もちろん、これはイスラム教徒の人は食べることができません。
もっとも、これはカレーに限ったことではなく、日本で普通に食べられているもの中には、こういった問題が多く隠れています。
ちなみに、フランスでもアジア食材店などで日本のカレールゥが値段は少々張りますが販売されています。おもしろいことに、こちらではHalal印のついたカレールゥも売られているんですね。つまり、イスラム教の教義に則った食肉のみを使って作られた、インスタントカレーということになります。
日本にもハラルのカレーは売っているそうです。フランスだったら、バーモントカレーみたいなブランドであるんですけどね。食べ比べてみても、そんなに違いがないのです。
面倒だと思いますか?実際フランスに住んでいると、食事面での違いはイスラム教の豚肉禁止だけでなく、ベジタリアン、ヴィーガンなど、様々なことを考慮しなくてはいけません。そして、それは多文化の許容、個人を尊重するといった点では大切なことなのでしょう。。。
なんでこんな記事を書いたかというと、さっきトランクの中を整理していたら、まだ開けていないカレールゥが2つ出てきたのです。ここまでカレーのことを書いてきて今更言うのも難ですが、僕はカレーがあまり好きではないのです(笑)小・中学校と、給食に頻繁にカレーが出すぎたせいで、すっかりカレーに魅力を感じなくなってしまいました。
誰か、一緒にジャパニーズカレーパーティーしませんか^^??