フランシウム87

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覚えておくとフランス語の作文で便利!┃文頭に使ってはいけない言葉

フランス語での作文。フランス語で何らかの試験を受けようとしている人は、一度は勉強したことがある分野だと思います。

フランス語に限ったことではないのですが、一般的に話し言葉と書き言葉というのは大きく異なります。話し言葉の文体で書いていたら、作文で大幅に減点されてしまった…なんてことはよく聞く話です。フランス人は文法に厳しいのです。

今日は、フランス語の作文で文頭で使ってはいけない言葉を紹介します。

簡単に覚えられるものなので、しっかり覚えてつまらないミスをなるべく減らすようにしましょう。

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mokuji

 

 

 

 

文頭に使ってはいけないとはどういうことか

 

フランス語も日本語と同じように、作文をするときには分の区切り(,.を使う、段落を変える、など)をしっかりと意識します。だらだらと長い文章は、読んでいて説得力に欠けます(僕の文章がいい例… :P)。簡潔に要点がまとまった文章が、採点の時にもいい評価を得るのです。

 

話はそれますが、中国語というのは句読点がないようです。

なので、中国人が外国語を勉強するときには、この分の区切りをついついおろそかにしてしまうのです。想像してみてください。句読点や読点のない文章はとても読みにくいですよね。

 

一つの文章でピリオドを打つ、ということは、そこに大きな文の区切りがあることを意味します。そして、その後ろから次の文章が新しく始まるのです。

 

文頭に使ってはいけないというのは、このピリオドの後、新しい文章の始まりに使ってはいけないという事です。当たり前の説明ですが、念のため。

 

 

 

conjonctions de coordinationという語群

 

conjonctions de coordinationとは、日本語で「等位接続詞」という意味です。

別にこんな言葉は覚える必要はないのですが、「等位接続詞」には以下の7つがあります。

 

mais , et , ou , donc , or , ni , car

 

どれもどこかで目にしたことがあるような、メジャーな言葉たちでですね。

会話の中でもよく使われます。

 

-Il fait beau!

-Oui, effectivement.

-Mais j'ai froid...

 

会話の中ではこのようにmaisが文頭で使われることは当たり前です。

しかし、これは作文、つまり書き言葉では禁止されているというのです。なぜでしょう?

 

 

 

「等位接続詞」とは何か

 

「等位接続詞」とは読んで字のごとく、2つの文章を等しく結ぶ言葉のことです。

Il fait beau, mais j'ai froid. 例えばこの文章では、"il fait beau"と"j'ai froid"の語られているレベルが同じなのです。どちらも天候の話ですよね。

例えばこれが Il fait beau, mais je déteste la mathématique! なんて言い出したら、精神分裂病かと思われてしまいます。「天気がいい」と「数学が大嫌い」は等しいレベルで語れないのです。

 

他の「等位接続詞」も、maisと同様の働きをしています。

例えば Je suis occupé, car j'ai beaucoup de choses à faire. 「忙しい」のと「その理由」が等しく語られています。

 

 

 

なぜ「等位接続詞」は文頭に使ってはいけないのか

 

理由は簡単。使っちゃいけないからです(笑)

って、学校で教わるそうですよ。フランス人は。

まぁ考えてみればわかるのですが、「等位接続」っていうくらいなので「前と後ろをつなぐ」=「2つの文章の間にある」状態じゃないと不自然なんですよね。

 

いや、不自然じゃない!Maisで書きだしても問題ないだろう!っていう意見のある方。

おっしゃる通り。実際、前の文章で述べられたことに反対する文章を書く場合は、書き出しが反対の意味の接続詞じゃないといけないですよね。

しかし、それはmaisの仕事ではないのです。なぜなら彼は「等位接続詞」の一員。

 

つまり、mais以外の反対の意味を持つ接続詞を使うべきなのです。

例えばtoutefois, pourtant, cependantなんかは文頭で使えます。

maisが使えればこんな長い単語を暗記する必要ないんですけどね。でも仕方がないです。とはいえ、pourtantは会話の中でもよく耳にするので、覚えておいて損はないでしょう。

ちなみに、同じように反対を示すmalgéという言葉があります。これも文頭に使えるのですが、後に名詞しか置けないという制約があるので気をつけましょう。

 

 

 

この文法を学ぶレベルは…

 

だいたいB1-B2くらいでしょうか。

つまり、レベルBの試験を受けるときには気をつけなくてはいけないポイントだという事です。

ここまでしっかり内容を理解してもらえたらbantan嬉しいです。

 

で、ここからもうちょっと踏み込んだ内容。覚えても覚えなくてもいいのですが、こんなことがあるんだー程度に読んでもらえればと思います。

 

先日、DELF B2を受ける日本人の友人たちと話していた時の事。

この「等位接続詞」についてちょっと触れたんですね。

当然彼らは「等位接続詞」は文頭に使わないという考えを持っているわけです。これは正しくて、学校でちゃんと勉強したことを覚えている証拠です。

 

しかしこの規則は、もうちょっとレベルが上がると通用しなくなってしまうんです。

 

 

 

Problématique:文頭でconjonctions de coordinationを使用するケース

 

僕がフランス語を勉強いていた時、文法担当の先生は大学院でフランス語教授法(もちろんフランス人学生相手の授業)を教えている人で、文法の知識がとても豊富な人だったんです。

彼女は僕たちの言語史の授業も担当していて、フランス語がラテンからフランク王国やカロリング朝を経てどう変わっていったのか、ということを勉強したのです。

 

当然試験も歴史に関することだったのですが、採点されて帰ってきた自分の答案を見てびっくり。減点の8割は文法ミスによるものだったんです!

その減点されたものの中には、Parce que→Carと直された部分があったのです。文頭で。あれ?Carって文頭で使っちゃいけないんじゃなかったっけ?

 

先生に聞いてみると、「あなたが書いたこの文章、よく読んでみなさい。前の文章の理由をピリオドの後に書き始めているでしょ?この2つの文章は等しく扱われるべきだからCarを使うのよ。」とのこと。

つまり、たとえ文章がピリオドをまたいでいたとしても、文章の本質が等しければcarを使うべきなのだそう。

言い換えると、記述式の答案では、ともすると長大な一文になりがちです。それをなるべく短く簡潔にするため、

 

~~~~, car ~~~~. よりも  ~~~~. Car ~~~~.

 

とするほうが好ましいという事ですね。

ネットで調べてみたところ、このような主張もありました。Maurice GrevisseとAndré Goosseという高名な文法学者の記した書物からの出典です。

 

Des esprits logiciens considèrent comme une faute le fait de mettre une conjonction de coordination après un point. L’usage, notamment celui de Léautaud, ne tient aucun compte de cette interdiction, même après un alinéa. Il arrive d’ailleurs que le lien soit établi, non avec la phrase qui précède immédiatement, mais avec un ensemble comprenant plusieurs phrases.