フランシウム87

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メーデーってなにするの?┃フランスの5月1日

今日はメーデーです。

メーデー…って聞いて何をする日かピンとくる日本人はあまり多くないでしょう。だって、日本じゃ何もしないからね。

なので、僕がフランスに来て初めてメーデーを過ごした時はびっくりしました。

フランスは別の意味で"何もしない"のです。

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メーデー=「労働者の日」

 

メーデーというのは、国際的に「労働者の日」として認知されています。

フランスでも、この日は特別な理由がない限り、原則的に仕事をする人はいません。「いなかった」といったほうが正しいかもしれないです。理由は後で書きます。

今年のメーデーは日曜日に被ってしまいました。

フランスでは、スーパーや一般の販売業も含めて多くの仕事は日曜日は休みます。

でも、メーデーはちょっと特別。

 

 

 

フランスでは何もかもが停止するメーデー

 

例えば、モンペリエ市ではバスやトラムなどの公共の交通機関もメーデーは運行しません!

つまり、マイカーのない人は出かけることすら難しくなってしまうのです。都市機能完全ストップ。これには最初びっくりしました。

せっかくの休日なのに!と思ったあなたは、完全な日本人の思考を持っていますね。僕もそう思いました。

交通の交通機関が動いていなければ何をするのか。答えは簡単。家で過ごせばいいのです。

近くの家族や友人とゆっくりと一日を過ごす。たまの休日なんだから、と特に遠出することもなく、ゆっくり家で過ごせばいいのです。

 

 

 

メーデーにはスズランを贈る

 

フランス独特の風習として、メーデーには家族や友人にスズラン(muget)を贈ります。

 

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この日だけは特別に、道でスズランを誰でも無届けでスズランを売ることができます。

といっても、もともと働く日ではないので多くの人がスズランを売ることはないのですが…街中でスズランを売っている人を見かけます。

スズランって小ぶりで華奢で、いい香りなんですよね。

僕もこれから友達と会う予定なので、どこかでスズランを買っていこうと思います。

 

 

 

ちょっとずつ変わってきているフランスのメーデー

 

メーデーは基本的には働かない日だと書きましたが、その実態はだんだんと変わってきています。

フランスでは、実際メーデーであっても店を開ける小売業者がいるんですね。

フランスでは労働法で、祝日に仕事をした場合、賃金が通常の2倍になるという決まりがあるのですが、それでもメーデーに営業しようとする店がでてくるのです。

理由は簡単。この日は多くの店が閉まっているので販売競争が低下するからです。

 

 

フランスに限ったことではない

 

例えば、僕が前に住んでいたスペインでは、日本でも名前だけは通用している「シエスタ」という文化があります。

これによって、今でも多くの個人商店や小売業者は昼休みを2-3時間とっているのですが、そんななかで中国人経営の店はノンストップで店を開けています。

もちろん、中国にはシエスタなんていう文化はないから昼休みをとる必要はないわけです。

しかし、これをスペイン人の視点から見ると「僕たちが仕事をしていない間に中国人は働いてる。彼らは僕たちの国から金を巻き上げているんだ!」という考えになってしまうわけです。

なかなか横柄な主張…と思うかもしれませんが、スペイン人にとってはシエスタという休息時間は、いろいろな努力をしながらも守り続けている文化・労働体系なのです。

なので、それを尊重しない仕事の仕方をすると非難の対象になってしまうわけですね。

 

 

 

フランスのメーデーで考えてみると

 

この見かたをフランスで考えてみましょう。

さっき書いたように、フランスではメーデーでも働く人がいます。

そこで少し特徴的なのが、雑貨や食料品を扱う個人経営レベルの店は、"移民"の人が経営している店が見受けられるという事。

"移民"という言葉の定義を求められると、ケースバイケースになってとても難しいのですが、ここでは少々乱暴ですが、アフリカ大陸やイスラム圏などの、フランス外のフランス語圏から、労働を目的としてフランスに来た人々とします。

メーデーという、労働から離れて休息をとる日、という意味合いの強い日に働く移民層。ここには先にあげたスペインの例と同じ、"フランス人"からの冷ややかな目があるのです。

 

 

 

メーデーに働くのは移民層だけじゃない

 

当たり前のことですが、メーデーに働くのは移民層の人だけではありません。

ただ、そういった人たちが、フランス人たちの目につきやすい、というだけです。

でも、こういったちょっとの特徴が積み重なって、"移民"のイメージが作り上げられていくんです。

 

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フランスの労働法というのは面白いもので、休日に仕事をさせないようにする法律というものが存在します。

他にも、労働は週35時間までと規定されていたり、年間5週間の有給が決められたりしています。

僕も学生という身分でありながら、しっかり有給を消化できているのは、このフランスの労働法のおかげであるといえます。

しかし、この労働法を守る・守り続けることは容易なことではありません。最近のフランス労働法改正に反対するデモのニュースを見てもらえば一目瞭然だと思います。

 

そこに、"移民"という名札の下がった人たちが、少しでも自分たちの守り抜いているスタイルと違うことをすると、それはとても目立つ行為になってしまうのです。

 

労働というのは、稼いだお金で生活を作り出していくという側面と、労働自体が人の生活を形作るという側面があるもの。

目先の利益を追い求めることよりも、仕事というものがどのようにして自分の・私たちの生活を作っているのか、そんなことをメーデーという「労働者の日」を使って考えたいですね。