MEC食ダイエットとグリセミック・インデックス(と、フランス)
「MEC食ダイエット」って知ってますか?
フランス語の"mec"じゃないよ(笑)
フランス語で"mec"は、「あいつ」「ヤツ」みたいな意味の単語です。
とっても粗野な響きのことばなので多用しないほうがいいでしょう。
じゃなくて、「MEC食」というのは、肉(Meet) 卵(Egg) チーズ(Cheese)を多く食べて健康的にやせよう!という考え。
僕もこちらの記事を読んではじめて知りました。
この記事では、フランス人は一見すると高カロリーで太りそうなイメージのある「MEC食品」をよく食べてる。
でもパリの街中にはスレンダーな人が多い。
それは、この「MEC食品」は、実は太りにくい食品なのだ。
ということが書かれています。
ほかにも、フランス人が太らない理由として、ゆっくり時間をかけて料理を楽しむ、水を多く摂取する、という例もあげてます。
「MEC食」はなぜ太りにくい?
なぜ、肉や卵、チーズが太りにくい食品なんでしょう?
それは、これらの食品が、食べた後にすぐに血糖値を上げる食品ではない、というところがポイントです。
つまり、食べた後にすぐに血糖値を上げるような食品は、肥満の原因となってしまう、ということです。
これはどういうことでしょうか?
私たちが食事を終えると、体の中では食べたものを分解してエネルギーに変換しています。
ここで、すぐに使うエネルギーは筋肉や臓器などに運ばれて使われていくのですが、それ以上の余分なものは肝臓や脂肪に一時的に蓄えられるんです。
そして、次に筋肉がエネルギーを必要としたときに、ストック分が使われていくんですね。
この、一連の仕事をしてくれているのが有名なインスリンなんです。
体の不調などが原因でインスリンの働きが悪くなると、糖は肝臓や脂肪に貯蔵されなくなり血液にあふれた状態になります。
つまり、高血糖の状態です。
面白いことに、血液中の血糖値があがると、今度はそれがインスリンを分泌するシグナルになり、余分なインスリンが分泌されてしまうんです。
イメージ的には、満員電車の中の疲れ切ったおっさんインスリン軍団。
見るからに体に悪そうですよね。
皮肉なことに、この人員過剰のおっさんインスリン軍団は、さらに高血圧や肥満を促してしまうのです…
そこでグリセミック・インデックス
少しフランス語の勉強。
グリセリンやグルコースといった言葉は日本語の中でも聞いたことがあると思います。
これらの単語の接頭辞"gluc~(gly~)"は「糖(の)」という意味です。
グリセリンはそのままの名前の化合物ですが、グルコースは「ブドウ糖」、あとは"glucide"「炭水化物」なんて単語はよく使われます。
世田谷育ちのグルグルグルグルグルコサミンも、もちろん糖が構成されてますよ。
グリセミック・インデックスというのは…
つまり、血糖値を上げるスピードで食品を比較して数値化したものなんです。
ブドウ糖はすぐに血糖値を上げますが、卵は血糖値を上げるスピードが遅い…といったことがこのインデックスで一目でわかるんですね。
グリセミック・インデックスには問題点が…
ただ、問題点があるんです。
それは基準とする食材があいまいなこと。
基準値がとくに指定されていないので、何かひとつの食材を基準にして、そこから各食材に数値をつけていくのです。
あたり前ですが基準の食材が変われば、ほかの数値も相対的に変わってきます。
また、日本で生まれたものではないので、表によってはあまり馴染みのない食材ばかりである場合もあります。
目安としては使えるんですけどね。
グリセミック・インデックスを使えば、太りにくい食品が見つかる!?
さっき書いたように、肥満を防ぐには余計なインスリンを出動させないようにするのが効果的だと考えられます。
なので、グリセミック・インデックスをみて、血糖値を急激に上げないような食品をえらんで食べていれば、余分なインスリンを減らすことが期待できるのです。
しかし。
肥満っていうのは、そう簡単な問題じゃないんですねー。
体のコンディションや、喫煙・飲酒など他の生活習慣など、様々な要素がからんで肥満っていうのはできあがっていくんです。
しかも!
先ほど紹介した記事では「MEC食」がスレンダーなボディを維持するのに一役買っているようなかんじで書いてあります。
でも、サンドイッチ(フランスのサンドイッチは、フランスパンを半分にスライスして、中に具をはさんで食べます)の大部分はフランスパン。
フランスパンって、グリセミック・インデックスでは血糖値をはやく上げる食品として、かなり高ランクに位置してるんですよ。
白米を差しおいて。
ゆっくり食事を楽しむっていうところは、本当にその通りです。
ストレスも肥満の要因の一つですからね。
ただし、肉食文化は太らない体づくりに一役買っていると思う
僕は小さいころ、母から「フランスでは、むかしは水が貴重だったから、水がわりにみんなワインを飲んでいたのよ。」と言われた記憶があります。
真偽のほどは今のところ謎ですが、確かにフランス人はワインを日常的に多く飲みます。日本でもワインは最近メジャーになってきましたが、まだまだワインで悪酔いしてる人を多く見ます。
フランス人でそんな悪酔いしてる人はめったに見ません。
これは、伝統的にワインを飲み続けているからだと思います。
これって、肉食文化でも同じことが言えます。
例えば、ピレネーの山奥の小さな村に行きますよね。
そこには羊と乳牛と鶏が数羽買われています。
畑はやせていて、イモやいくつかの根菜しか収穫できません。
しかし、こんな環境でも彼らは数百年ものあいだ生きてきたのです。
日本のように四季折々の海の幸・山の幸をとることなく、彼らは生きてきたのです。
要するに、彼らの体は肉を食べていきることに慣れているのです。
日本人には日本人に似合った食事制限がある
僕は、食事制限には否定的ではありません。
というか、食事制限という言葉を使うのをやめて、食事補正とか食事矯正っていう言葉にすればいいと思っています。
悪い食生活で自分の体に不満を持っているのなら、食事内容を見直して理想的な体につくり変えていけばいい。
ただ、海外の食生活と日本の食生活は根本的に違うものなので、混同しないほうがいいでしょう。
フランス人はサンドイッチばっかり食べててもいいのかもしれませんが、日本人には向いていないんです。
実際、僕は2週間、とても忙しくてフランスパンのサンドイッチ生活(具はハムとチーズのみ!)をしたら、後でひどい便秘に悩まされました(笑)
MEC食ダイエットが健康的かどうかは疑問があります。
でも自分の体にあった、血糖値とインスリンに負担をかけない食品探しにグリセミック・インデックスは使えそうですね!
読みたいなぁ。やっぱりkindle買わないとかな。