バスクに行くならココに行こう!サンセバスチャン旧市街から簡単に行けるおすすめスポット
サンセバスチャンは、スペインのバスク地方にある「美食の街」と呼ばれる小さな町。
2017年に、スペインはパンプローナの牛追い祭りに行くために初めて立ち寄りました。その時の経験が印象的だったので、翌年の夏休みもサンセバスチャンに行くことに…。
僕の中で小さなブームを引き起こしたサンセバスチャン。この町のおすすめスポットを紹介します。
サンセバスチャン基本情報
サンセバスチャンとは?
サンセバスチャンは、スペインのバスク地方にある小さな町です。
バスク地方はちょっと特殊な場所です。そもそも定義がはっきりしていないのですが、ここではバスク語という言葉が話されている地域をバスク地方とします(政令的には若干範囲が狭くなります)。つまり、大西洋側のスペイン北部からフランス南部にかけての地域がバスク語が話されているバスク地方になります。
サンセバスチャンに行くには?
サンセバスチャンはスペイン側のバスク地方にありますが、フランスとの国境にとても近い場所でもあります。
日本からサンセバスチャンに行くのは、少し面倒です。
飛行機をメインに行くのであれば、ヨーロッパのハブ空港(パリやアムステルダムなど)を経由して、スペイン北部のビルバオ空港まで飛行機で行って、ビルバオ→サンセバスチャンまでバス、という方法があります。
もしくは陸路(バスや鉄道)を駆使していく方法があります。例えばマドリッドやバルセロナからサンセバスチャンへ行くバスや鉄道があるので、途中の街を経由して楽しみながらサンセバスチャンに向かうのも良いでしょう。
実は、南仏のモンペリエからもサンセバスチャンへ行くバスがあります。片道30€前後。サンセバスチャンはフランス側に近いので簡単に行けそうですが、実際は国境に横たわるピレネー山脈を迂回しなければならず、13時間(トゥールーズでの乗り換え時間を含む)もかかるので、かなりガッツが必要です(笑)
飛行機が一番早く行けるような気がしますが、搭乗手続きのために早めに空港に着いていけなかったりしてタイムロスが多くなりがち。個人的にお勧めなのは、バルセロナからバスや電車でサンセバスチャンまで行く方法です。早朝バルセロナを出発すれば、遅くとも夕方にはサンセバスチャンに到着します。
スペイン国内長距離バス情報:Hacemos tu viaje en autobús más fácil - ALSA
サンセバスチャンは「美食の街」
サンセバスチャンは世界に名のしれた「美食の街」です。
それは、この町が面積当たり世界で最もミシュランの星付きレストランが密集しているから。または、サンセバスチャンの旧市街はバルが密集しているから。サンセバスチャンには男性だけが参加できる「美食倶楽部」なるものが存在していて、美味しいものを追求する風土があるから…理由を言い出したらキリがありませんが、とにかくサンセバスチャンは、その地を訪れた人たちが言うように、またその土地に住んでいる人々が自負しているように、食べること・飲むことに大きな意味がある町です。
初めてこの町の旧市街に到着したときの僕の感想は"Amazing!!!"でした。右を見ても左を見ても、ここに存在するのは飲み屋ばかり。酒好きの僕にとって、まさにそこは人生の楽園。骨をうずめるならここにしたい♡と、リアルに考えてしまうほど、本当にワクワクする町でした。
サンセバスチャンのおすすめスポット
旧市街のバル散策
まずサンセバスチャンに着いたなら、旧市街のバル散策をしなくてはいけません!これはマストです。
場所はココ。
美味しいバルの見つけ方
どんなバルに入っても基本的に美味しいので、「どのバルが美味しいか?」と躍起になってガイドブックやトリップアドバイザーとにらめっこになるのは感心しません。もっと雰囲気を楽しんで、自分の「鼻」を信じましょう。僕がサンセバスチャンのバル選びで一つだけ忠言するとしたら、きれいな店は避けるべし。清潔感溢れるライティングのバーカウンターの店は、例えピンチョス(この地方でよく食べられる、一口サイズの料理)が大ぶりに盛られていたとしても美味しかった記憶がありません。それよりも、若干汚いくて繁盛している店の方が美味しいものです。スペインでは用事や紙くず、オリーブの種や野菜の下手などは床にポイポイ捨てていく習慣があります。なので床にゴミの多い店は人気店の証拠。中にはわざと人気店に見せるために従業員がゴミを店内にまき散らすことがあるとかないとか…
スペインではタコやウニも食べます。
バルでステーキが美味しいと言われているけど…おすすめは?
ちなみに、よくガイドブックやテレビ番組ではバルで炭火焼きのステーキがおすすめと言っていますが、僕は同意できません。ステーキを食べるなら、この後紹介するレストランに行くことを強くお勧めします。
その代わり、スペシャリテ(名物)で是非食べておきたいのは、大胆に厚切りのフォアグラをつかったピンチョス。普通ピンチョスはカウンターに準備されたものをとって食べますが、フォアグラのピンチョスはオーダーしないと出してくれないことがほとんどです。裏メニューということではないと思うのですが、店によって値段はまちまちなので、オーダーの時に確認するようにしましょう。相場は5~8€/ピースです。
飲み物はどんなものがある?
スペインと言えばワイン!赤も白も、どこでも美味しいワインが揃ってますよ。恥ずかしがらずに大きな声でカウンターの人に注文すれば、美味しいワインを出してくれます。
1杯目はビールで乾いたのどを潤すのも良いでしょう。サンセバスチャンの一般的なバルで出されるビールのほとんどは、バルセロナで作られるMoritz(モリッツ)という、後味がさっぱりとしたキレのあるビールなので、日本人の嗜好にもピッタリ合います。
もっとバスクの味を堪能したい!と考えるコアな方にお勧めなのはTxakoli(チャコリ)というバスク特産の辛口微発泡白ワイン。キリッと冷えたチャコリは酸味が強く、魚介料理との相性が抜群!!高いところからしぶきを上げながらジョバジョバ…と注ぐ独特のスタイルもインスタ映えして面白いですよ。
もう一つ、バスクで忘れてはいけないのがCidra(シドラ)というリンゴのお酒。フランスでいうところのシードル酒ですが、バスクのリンゴ酒はかなり独特な風味があるため、好き嫌いがわかれます。僕は大好きなので朝からジュース代わりに飲むのですが、地元のおじいさんから聞いた話によるとビタミンたっぷりで長生きの秘訣なんだそう。(注:栄養学ではアルコール飲料は栄養に含みません。笑)こちらもチャコリと同じように高いところから独特な注ぎ方をするので見ていて楽しいです。
他にも食後酒にお勧めのパチャランやオルホ、アニスのお酒など様々なものがありますが、これは現地に行ってバーの人に聞いて試すのが一番です。食後酒に行きつくころには良い気分になって、誰とでも臆することなく話せますからね。
バスクのスイーツも外せない!
ガトーバスクだけじゃない!バスクのスイーツ
ガトーバスクとは、アーモンドの香りが優しい素朴な焼き菓子。なぜか日本で有名なガトーバスクですが、バスクには他にも美味しいお菓子がたくさんあります。
…といってもお菓子の名前をいちいち名前を憶えていないのですが(;・∀・)バスクのお菓子というと、ガトーバスク然り、ほとんど素朴な味のものばかり。例えばなかにチョコレートソースがたっぷりと詰まった子供のげんこつぐらいある焼き菓子や、周りにココナッツや松の実をたっぷりまとったヌガーなど、一見するとヘビーな印象のものばかり。しかし、これが意外にも塩気の多いバルめぐりをした後だとペロっといけちゃうから不思議です。
おすすめバスクスイーツ屋!
おすすめの店は旧市街から海へ抜ける途中にある、外観が可愛らしいOiartzunという店。テラスに座って道行く人を眺めながらお茶をするのも一興ですが、テイクアウトも悪くありません。愛層の良い店員さんが包んでくれたお菓子をもって、近くの芝生の上や、ビーチに行って食べるのは最高の幸せです。
門外不出の絶品チーズケーキ…実は日本でも食べることができるってホント?
もうひとつおすすめのバスクスイーツと言えば、サンセバスチャンの旧市街にあるバル、La Viña(ラ・ヴィーニャ)のチーズケーキ。ベイクタイプのチーズケーキだけど信じられないほど滑らか&濃厚で、一度食べたら忘れられないおいしさ。朝ごはんに食べても良いし、飲んだ帰りのシメに食べても美味しい。
個人的には観光客で賑わう場所にわざわざ行きたくない性格なんですが、それでもこのチーズケーキを食べに、観光客の波をかき分けたり、朝早く空いてる時間を狙って行ったりもしました。
門外不出のレシピと言われていたみたいですが、なんと日本人パティシエが同店で働き、例のチーズケーキのレシピを日本に持ち帰ってきて、白銀高輪その味を再現しているんだそうです。 これは行くっきゃない!
僕も早速行ってきました^^!
腹ごなしにバスクのビーチを眺める丘の上へ
ウルグル城から眺める絶景
お腹がいっぱいになったら、今度は丘の上へ行ってサンセバスチャンの街並みを見物するのはどうでしょうか。旧市街から海ヘ出ると、北側に丘があるので登ってみましょう。
この丘はUrgull(ウルグル)と呼ばれていて、頂上にはウルグル城と呼ばれる元要塞があります。徒歩でだいたい40分くらいで着きます。ウルグル城内部は無料の歴史博物館になっているほか、屋上は展望台となっていて、対岸のラ・コンチャ海岸やサンセバスチャンの街並みを眺めることができます。青い海が目にまぶしいサンセバスチャンの海は、時に激しく、時に穏やかに、その移り変わる表情が印象的です。
帰り道には小さなお楽しみも…
ウルグル城から丘を降りる途中に、とても分かりにくい丘の一角に小さなバルがあります。バルと言っても、小さな小屋でお酒やコーヒーを売っているようなところなのですが、このお店がちょっと独特なのです。まず店員がみんなサーファーのような、ちょっとチャラい感じのお兄さん&お姉さんたち。そして、海が見渡せる屋外のテラス席の角にはDJブースが設置されていて、おっちゃんがメロウな音楽を回してる…スペインではままある光景かもしれませんが、日本はもちろんのことフランスでも見かけない空間だったので、とても心地よくて気に入りました。目の前がオーシャンビューっていうのも素敵ですね。是非立ち寄ってもらいたいスポットです。
アクセス情報
Bar Polboriña
毎日営業 11:00~21:00
電話番号 なし
住所 Subida Castillo, 2W, 20003 Donostia, Gipuzkoa, Spain
リゾート海岸をブラブラするのも気持ちがいい
歩き疲れていなければ、サンセバスチャンのリゾート海岸であるラ・コンチャ沿いをずーっと歩いてみましょう。19世紀からリゾート地として栄えたサンセバスチャンは、歩いているだけでも心が晴れ晴れとする特別な空気が流れています。
歩き疲れたら近くのベンチに腰かけても良いし、ビーチで営業しているスタンドバーで一服しましょう。テラス席があれば尚良し。tinto de verano(ティント・デ・ヴェラーノ)という、赤ワインをサイダーで割ったアルコールの弱い飲み物を片手に、海のそよ風を受けながらしばし昼寝をすれば体力回復です!
ビーチの端は…自然が作り出す海のおもちゃ!
ラ・コンチャ海岸とつながるラ・オンダレータ海岸を端まで歩いていくと何があるのでしょうか…?
そこには、こんな感じに穴の開いたコンクリートの岬があります。波打ち際に位置しているのですが、どうやらこの足場の下は空洞になっていて、波が押し寄せるとその空洞の中の空気が一気に吹き上げられ、足元に空いている穴から勢いよく噴き出す…まるでクジラの潮吹きのような感じで風が飛び出してくるのです。
これには子供から大人まで大はしゃぎ!僕が見ているときには、おばあちゃんが勢いよく下から吹き上げる風をまともに受けて、着ていたシャツがめくりあがり、下着をみんなに公開する事態が発生していました^^
同じ場所に、チリーダという国際的に活躍したバスク人彫刻家の作品が波打ち際に作られています。作品の赤錆がごつごつした岩肌、海の荒々しい波と見事にマッチしています。
夜は美味しい炭火焼きステーキに舌つづみ
バスク名物炭火焼きステーキを食べるなら、バルでなくちゃんとしたレストランで!
さて、ここまで盛りだくさんで回ればディナーの時間になっている頃。
スペインの夕飯はとても遅く、日没が遅い夏場は21時~22時に夕飯をスタートします。
僕がサンセバスチャン中心街から簡単に行ける場所で最もおすすめできるのは、Portuetxeという炭火焼きのグリルレストランです。20時オープンですが、予約してから行くことを強く勧めます。
おすすめは、やっぱり赤身肉の美味しいステーキ!!
このレストランのおすすめはなんと言っても豪快に炭火で焼き上げたステーキです。
旨味と肉汁溢れる赤身肉は、日本で珍重される霜降り肉とは違った魅力があります。肉質が固いと思われがちな赤身肉ですが、適切な火入れがされればかなり柔らかくジューシーに焼き上げることができるのです。
ボリュームは?
僕が初めて友人とこのレストランに行った時のこと。前菜を頼んでメインのステーキを頼んだところ、肉の量はどれくらいにするか?と尋ねられました。日本人の感覚でいうと、一人分の肉の量は100g。多くてもせいぜい200gといったところでしょう。骨もカウントされた総量とのことだったので「じゃあ2人で300gで。」と注文したら、ウェイターがびっくりした顔で、「たったの300g??うちでは2人だったら基本1,200gの注文ですよ!」とのこと。1,200gって、骨取って2人でシェアしても1人あたり500gはするメガ大盛!いやいや、そんなの絶対食べられないですっていっても、ウェイターも「骨取ったら少なくなるんだから…」となかなか食い下がらず、最終的に2人で800gということでオーダーしました。
美味しそうに焼かれてきた肉は果たして、取るべき骨なんてほとんどない素晴らしく美しい肉の塊。これは失敗した~300gで言い通せばよかった~っと後悔…。
が、しかし。これが食べてみると意外とイケちゃって、結局2人で800g+前菜+ワイン1本が空いてしまいました。そんな私たちにさっきのウェイターが「ね、言ったでしょ。だから1,200gにしておけば良かったのに。あのテーブルのカップル、あの2人だって1,200gはいつも間食してるよ。あそこのお年寄りのグループも…」と、バスク人の大食い話を聞かせてきました。
お会計は?
合わせるワインも地元のものを。これに2皿程度の前菜と、例の800gのステーキで、二人で丁度100€程度でした。1€=130円の計算で、およそ13,000円です。ボリュームと味を考えると、十分納得の金額です。
ステーキ800gは完食できたけどさすがに多かったので、おなかペコペコでも2人で500gくらいにしておいた方がスマートです。
アクセスは?
リゾートビーチのラ・コンチャ海岸とラ・オンダレータ海岸の間あたりから南へのびるDe Zumalakarregi Hiribideaという通りがあります。この通りの入り口付近にバス停がいくつかあるので、そこから30,40,43番線のバスに乗って、Portuetxe 35というバス停で下車。そこから徒歩2分でレストランに着きます。
海岸からは徒歩で30分程度です。
Asador Portuetxe
毎日営業 13:00~15:30 / 20:00~22:30
電話番号 +34 943 21 50 18
住所 Igara Bidea, 71, 20018 Donostia, Gipuzkoa, Spain
おわりに
日本でも若干人気の高まりがあるように思えるスペインバスク地方のサンセバスチャン。ここは世界中の美食家を虜にする、他にはない特別な街です。
飲食店が多いのでどこに行ったら良いのか迷ってしまうと思いますが、今回この記事で紹介したように、旧市街のバル巡りなら自分の「鼻」を頼りに、美味しい肉を食べたいなら町はずれのレストランに行けば間違いありません。
サンセバスチャンは食べる以外にもスポーツやアートなどのアクティヴィティも盛んです。ちょっと行きにくいのが難点ですが、一度言ったら忘れられない思い出になるサンセバスチャン。次の旅行先にいかがでしょうか?