フランシウム87

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フランスの大学進学率┃理工大1年生を終えた話

僕にとって、とてもうれしいニュース。

3月が年度はじまりの日本と違って、フランスのカレンダーは9月に始まります。

夏は3ヵ月の長大なバカンスなので、僕たち大学生は5月に学年末の試験があるのです。

で、僕はその試験をどうにか無事にパスすることができたので、晴れて大学1年目を終えることができたのです^^セーフ!

 

試験の結果は1学期と2学期の点数を平均したもので判定されるのですが、フランス大学1年生というのはとにかく進級率が悪い。僕も大学生活を始める前は「L1(Licence 1 = 大学1年次)は半分の生徒が留年になるよ。」といううわさを聞いていました。

えーそんなの都市伝説でしょーって思っていたのですが、その真相やいかに。

今日はフランス大学1年次のそこんとこを紹介したいと思います^^

 

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mokuji

 

 

フランスのディプロムの仕組み

 

フランスでは高校を卒業する試験と大学に入学する試験がくっついた「バカロレア」というものがあります。日本でイメージすると、高校最後の試験とセンター試験が一緒になった感じでしょうか。

フランス人たちはこのバカロレアを受けて、パスすることで高校を卒業して、その点数で大学に願書を送るわけです。バカロレアには日本でいう科学、人文、経済・社会といったコースわけがされているので、理系の大学に行きたい人はバカロレアの理系の試験をパスしなくてはいけません。

 

ちなみに、日本語では試験に受かることを「試験にパスする」といいますが、フランス語でJe passe un examen.といったら「試験を受ける。」という意味になります。「試験に受かる」は動詞avoirを使ってJ'ai un examen.になります。

 

バカロレアの歴史は意外と古く、このシステムの創設者はなんとナポレオン・ボナパルト。今でもそのシステムは受け継がれているなんて、なんだか古い伝統を大切にするフランス人らしいですよね。

そして、このバカロレアは国家資格でもあるのです。若干18歳にして、フランス人たちは国家資格に挑むわけですね。高校卒業時のバカロレアを始点として、それから進級するごとにBac+1,Bac+2...と数字が増えていきます。僕は今回、Bac+1を終えたというわけです。

あ、ちなみに僕はバカロレアを受けていません(笑)バカロレアすっ飛ばして、無試験入学しています。

 

 

 

そんなに難しくなさそうなバカロレア

 

バカロレアの問題の伝説というのは数多くあります。

バカロレア試験の中で、すべての分野に共通の「哲学」は難易度が高いのが有名で、毎年バカロレアの時期になると「今年の哲学の試験問題見た?」と、軽く話題になります。

しかも、哲学の問題は1問だけで、それで20点満点で評価されてしまうんですね。この問題で満点をとる人は存在しないといわれています。伝説的なのが、過去に「リスクとは何か」という問題に対して、「この試験である。」と答えた人が19点を取ったなんて言うエピソードを聞いたことがあります。そんな都市伝説がまことしやかに噂されるのも、バカロレアの時期のナーバスな心理状態をよく映し出していると思います。

 

しかし、Wikipediaをみたところ2015年のバカロレア合格率は91.5%でめちゃ高なんですね。え、言うほど難しいものでもないんじゃないか…とも思ってしまうわけです。バカロレアは僕も受けたわけではないので何とも言えないのですが。まぁフランスの高等教育はすべての人に門戸が開かれているので、バカロレアで最低限の足きりをしているだけに過ぎないのかもしれませんね。

 

 

 

科学系がダントツ人気

 

バカロレアの科目には、科学、人文、経済・社会の3つがあるのですが、半数以上の生徒は科学を選択するのです。理由は、将来就職するときに有利になるから。

逆に人文を選択する生徒は最も少ないようです。

日本では男子でも文系を選ぶ人が多いのを考えると、フランスと日本の違う点ですね。

 

ただ、科学系より文系のキャンパスのほうが可愛い・カッコイイ人が多いです(´・ω・`)

これは僕が2つのキャンパスのどちらも通ったことがあるので、保証します(笑)

 

 

 

何割くらいの人が1年目を終えられるのだろうか

 

1年目の結果は、1学期と2学期の試験成績を、足して2で割った平均点から判断されます。フランスでの満点は20点なので、すなわち10点に達していれば合格となります。

 

僕の平均点は…10.17点(笑)

 

しょぼすぎですが、受かったからまぁいいんです^^

もうほぼ、合格ボーダーライン上にいるようなものなので、僕の点数でだいたい合格・不合格の境目が分かると思います。

つまり、僕の試験の順位で、下に不合格者が何割くらいいるのかが分かるのです。

 

というわけで、恥も外聞もなく順位発表。

450/2311

半分なんてとんでもない!僕の下には4/5くらいの人がいるわけです(笑)

 

 

 

ただし、やる気のあるやつに限る

 

4/5の生徒が落ちるって、進級率悪すぎだと思うんですが、この順位は追試なしのものなので、ここからもう少し追試を経ての合格者が増えることが予想されます。

 

でも、この結果には僕は納得です。

というのも、大学生活が始まった時点で、すでに学校に来てない人とかいたから。

つまり、バカロレアに受かって大学にアプライしたけど、実際に大学に来てない人もいるのです。そして、そういった生徒は時間が経つにつれだんだん増加して…

僕の最初のクラスで仲良くなった人の中にも、11月の小試験ラッシュの時期を境に学校に来なくなった人もいました。試験の採点結果も、ネットで全員に掲示されるのですが(学生番号だったり、フルネームだったり…プライバシーってなんだっけ?)欠席の人数はだんだん増えていきましたね。

 

なので、4/5のうちの半分かそれ以上は、すでにやる気の無くなった生徒だと思います。

それでも不思議なもので、来年度になると、また授業をやり直そうと学校に復帰してくる人がいるんですよねー。最初からがんばれよ、と思ってしまうのですが。

 

 

 

 

外国人だからって大目に見てもらえない!?

 

毎年の進級が国家資格に関わるものであれば当然である気もしますが、よくフランスの大学に通う外国人生徒からは「外国人だからって(特にフランス語のミスで)大目に見てもらえない」という話を耳にします。

 

僕、めちゃめちゃ大目に見てもらってました(笑)

多分、1年生だからだと思うんですが、不適切な単語や文法ミスは、先生からのチェックが入っていても失点していないことはよくありました。とはいえ、まぁそこそこ点数ひかれましたけど。。。

しかも、科学系の大学って文系みたいに言語そのものに重点を置いているわけではないので、試験には紙の辞書なら日仏辞典を持ってきてもいいんだそうです。僕は紙の辞書がひけないので持って行ったことはありませんが、字引きが早ければかなり有利ですよね。

 

でもきっと、これから進級するにつれて採点は厳しくなっていくと思うので、これからどう変わっていくのかよく観察していきたいと思います。

 

 

 

フランスの国立大はタダだから

 

タダだからあんまり留年に対する緊迫感がないのかもしれません。

僕も最後のほうは「まあ留年したら1年多くヨーロッパにいられるしいいかぁ」くらいの気持ちに成り下がっていたので、現地フランス人ならなおさらでしょう。

できなければもう一度時間をかけてやっていく、そのかわり、やる気があれば一度に複数の勉強をこなしたりもする。

やっぱり個人によってやることが全く違うんだなぁ、と実感したフランスの大学1年生活でした。

 

 

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