フランス風周期表の覚え方
水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム…
中学の理科の時間に習った周期表、あなたはどこまで覚えていますか?
周期表をフランス語でいうと?
周期表はフランス語で Tableau périodique (des éléments)と言います。長いですね。
tableauという単語は「絵画」という意味でよく目にしますが、ここでは「表」という意味です。よくエクセルやワードで「テーブル(表)」と書かれているのを目にすると思いますが、それと同じです。
périodiqueは「周期的な」という意味の形容詞です。Revue périodique(定期刊行物)などで使われる単語です。「定期」としては、ついでにhebdomadaire, mensuel, trimestriel, semestriel, annuelも覚えておくと便利です。
élémentは「元素」です。元素はモノを構成する最小単位なので、日常では「要素」「材料」という意味で使われることが多いです。
これらのことを踏まえて逐語訳をすれば、元素の周期表ということになります。
ちなみに全くフランス語とは関係ありませんが、なぜ周期表というのでしょうか?元素表といったほうが良いような気がします。
もう中学(大昔)のことで覚えてないよーという人もいるかと思いますが、実は周期表の原子の並べ方にはある法則があります。つまり、縦のラインごとに同じような性質を持った原子が並べられているのです。どういった性質かというと、原子の周りに存在する電子の話になるので深くは追及しませんが、とにかく周期表の縦列にはある周期性があります。例えれば、日本語の五十音表に似ているかもしれません。五十音表は5つごとに同じ母音を持つ音が周期的に並べられていますね。ということは五十音表は「日本語発音周期表」とでも名前を改めてもいいかもしれません。
フランス風周期表の覚え方
学生時代、周期表を覚えるのに「すいへーりーべー…」と唱えたことはないでしょうか。
僕は母に「水兵離別、バックのお舟。なぁに間がある、シップがすぐ来らぁ」と教わりました。水兵さんが母艦と離別してしまったけど、迎えの船がすぐ来るだろうと呑気に構えている…という意味です。
もちろん、これは日本語での語呂合わせの暗記方法です。すい=水素、へー=ヘリウム、りー=リチウム、ベー=ベリリウム…
これと同じような方法がフランスにもあります。こんな試行錯誤がフランスにもあるということは、やはり東西ところ変われど周期表を覚えるのは大変な作業であるようです。
日本の語呂合わせはたくさんのバリエーションがありますが、フランスでも同じです。ここでは僕が実際に聞いたことがあるものを紹介します。
まずフランス語の語呂合わせでは、日本語と異なり横の段ごとに暗記をします。
第1段目はH Heしかないので飛ばします。
第2段目をフランス語流の語呂を合わせると…
【Li Be B C N O F Ne】
LiBerté de Boire Car Nous On Foire Nos examens.
(試験で失敗したから自由に酒を飲む。)
NeをNos examensと2つの単語に分けるところに美しさを感じませんが、文章としては面白いと思います。
第3段目には、かの有名なナポレオン将軍が出てきます。
Napoléon Mangea Allégrement Six Poulets Sans Claquer d’Argent.
(ナポレオンは金を使わずに6羽の鶏を陽気に食べた。)
もはやこの文章を覚えるより、素直に元素記号を覚えたほうが早いんじゃ…というレベル。ちなみに最後にあるxénophobeという単語にまつわる話をこちらの記事で書いているので、良ければ読んでみてください。
おわりに
実は周期表のすべてをカバーするほど、たくさんのフランス語の語呂が見つかったのですが、だんだんと語呂のほうが複雑になってきたので紹介するのをやめました。
面白かったのが、日本の場合はとりあえず頭から順番に覚える語呂合わせがあるのに対し、フランス語では段と列ごとに暗記する語呂が考案されている点です。こうして2つの異なる方法で暗記していれば、異なるアプローチができるので便利なような気がします。
しかし、実際に化学式をたくさん扱っていると、こんな語呂合わせなんか覚えずとも自然と周期表が頭に入ってくるんですけどね。古今東西、面白いことを考える人はいるものです^^