フランシウム87

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フランス語の「未来形」の秘密

 

フランス語を勉強していると「未来形」という時制に出会います。

しかも、フランス語は動詞を活用して「未来」の事を表すのです。、なんだか、不思議じゃないですか?

だって、日本語には未来形なんてないですからね。僕たちは日本語で未来のことを言い表すときでも、現在形と同じ動詞の使い方をします。「来週、雨が降る。」ほらね。

英語にしても、動詞そのものの活用というより、助動詞willを付け加えることで、未来の不確かさを表現しています。

 

ということは、未来形って、実はあまり重要じゃないんじゃないだろうか?

 

今回の記事は動詞の活用に苦手意識を持っている人。必見です。なぜなら、理由を理解することで、動詞の活用を覚えるのはぐっとラクになるからです^^

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実は歴史の浅い未来形

 

フランス語の歴史の中で、未来形が生まれたのは比較的新しいのだそうです。

現代の私達の人生は、しっかりと目標を持って未来を見据えていれば、ある程度のことは実現できるようになりました。

 

しかし、封建社会であった中世以前のヨーロッパはどうでしょう。おそらく、当時の人たちの一生というのは、今の私達より自由が少なかったと考えられます。つまり、未来というものは不確かなもの。それよりも現在や過去を言い表す文法時制のほうが重要だったのです。。。

 

とは言え、この先に起こることを言い表す方法がなかったわけではありませんでした。

その昔のフランス語では、未来に起こるであろうことを言い表すには、「主語 + avoir + à + 同士の原形」というふうな言い方をしていたのです。

 

主語je、動詞mangerを例に取ってみると、

J’ai à manger.

となります。

 

この形、現代フランス語にもみられる、「近接未来」に似ていますよね。

近接未来とは「主語+aller+同士の原形」です。動詞allerの活用さえバッチリできれば、あとに続く同士はなんであれ原形で済むので、巷で人気の構文です。

 

これを英語に置き換えてみると、やはり「動詞の活用」ではなくて、「助動詞」としての用法になるんですね。willを使った未来を指す文章は、「主語+will+動詞の原形」です。

 

 

未来形の形のカラクリ

 

では、フランス語の未来形の動詞の活用はどのようにして成立したのでしょうか。

 

さっき、昔のフランス語では未来のことを言い表す形は「主語 + avoir + à + 同士の原形」だと書きました。

 

avoirの動詞の活用を思い出してみましょう。現在形ではこんな感じですね。

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(出典:http://la-conjugaison.nouvelobs.com/du/verbe/avoir.php

 

 

では、動詞mangerの未来形はどうでしょうか。活用表を書くとこのようになります。

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(出典:http://la-conjugaison.nouvelobs.com/du/verbe/manger.php

 

さて、上の2つの図を見比べて、あることに気づいたでしょうか?

 

そうです!未来形の活用は、動詞の原形の語尾に、動詞avoirの現在形の活用をくっつけただけなのです!

(残念ながら、一人称複数、二人称複数はこの法則に対応していませんが…)

 

構文から活用形へ

 

未来形の活用の成立で興味深い点は、「主語 + avoir + à + 同士の原形」という構文が先に存在していて、それから構文の前後関係が倒置されて動詞の活用になったという点です。

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ということは、未来形の活用の形を忘れてしまったとしても、今回説明した理由が頭に入っていれば、動詞avoirの活用形から理論的に未来形を導き出すことができるのです。

 

おわりに

 

なかなかストレスの多いフランス語の活用の勉強。このように活用の理由を理解することが、活用の勉強の助けになる事もあるのです^^