フランス語の発音┃ouの音とオオカミの遠吠え
フランス語の難しさの一つである発音。同時に、フランス語がなぜ美しい響きを持っているかというと、この発音があるから。なので、僕たちフランス語学習者にとって憎らしいけど無視できない、非常に厄介な存在であるのです。
そんなフランス語の発音のなかでも、僕が特にてこずったものがouの発音。
あなたはouをどのように発音していますか?
フランス人に聞いてもらおう
ouって、日本語の文字で書き表すと「ウ」になると思います。
「ウ」であることに間違いないのですが、日本の50音のなかにある「アイウエオ」の「ウ」とはだいぶ違った音になります。
もし身近にフランス人やフランス語を母語にする人がいたら、courとかmouchoirとか言って、ouの発音が正しいかどうかジャッジしてもらいましょう。
え?何も問題なかったって?そんなあなたはこの記事をこれ以上読む必要はありません(笑)
ouの発音に問題があった人、集まれー!
ouとuの違い
まず、とっても基本的なところから確認していきたいと思います。基本的だけど、案外間違えている人も多いものです。
日本語で「ウ」というと、uを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。恐らくそれが原因で、フランス語でもuを「ウ」と発音してしまい人がいるのです。
でも、よく考えてみてください。あなたはニンジンのピュレ(purée)を「プレ」と発音したことがありますか?音楽(musique)を「ムジク」と発音したことがありますか?違いますよね。前者は「ピュレ」で、後者は「ミュジク」と発音すると思います。
このことから分かる通り、フランス語ではuは「ユ」と発音します。numéroを「ヌメロ」と発音したら、それはスペイン語です。フランス語では「ニュメロ」です。
そして、日本で言うところの「ウ」が、フランス語のouなのです。
日本生まれでパリで活躍した画家、藤田嗣治もフランス名ではFoujitaとなっています。
ちょっと待った!それでもuは日本語の「ウ」ではない!?
日本語の「ウ」は、フランス語のouでした。チャンチャン
そうは問屋が卸さないのがフランスです(´・ω・`)
このouという発音、手持ちの発音の参考書でも、フランス語が堪能な人の生の発音を聴いても良いのですが、自分の発音する「ウ」の音と、丁寧に聞き比べてみましょう。
何か違うと思いませんか?フランス語のouのほうが、なんだか曇った、詰まったような音に聞こえないでしょうか?
ここでYouTubeにあげられている発音のビデオを見てみましょう。
[u]または/u/のように、カッコやスラッシュで囲まれているのは、「これは発音記号(symbole phonétique)だよー」という印です。ここでは動画のタイトルに使われていますね。symbole phonétiqueが分からないようであれば、参考書を買ってしっかり勉強しましょう。フランス語学習の基礎であり、発音学習の要です。
僕のおすすめはこの本です。
[u]はouで書き表される音です。それと、[y]はuで書き表される音(先ほど「ユ」として紹介したものと同じ)です。
Prononciation des voyelles françaises /i/, /u/, /y/
"Pour le son "ou", les lèvres sont très arrondies et la langue est en arrière."
「ouの音を出すには、唇をよくすぼめて、舌は口の中の後方にいるようにします。」
そして、動画を見てあることに気付いたと思います。
この人、すごいおちょぼ口だと思いませんでしたか?笑
実は、このおちょぼ口がouの発音のカギなのです。いや、冗談じゃなくて、本当にこれくらい唇を突き出すんです。疑い深い人は、試しにフランス母国語の人に発音してもらいましょう。ouだけの発音をお願いしても不自然な感じになってしまうので、できればouが含まれた単語を発音してもらうようにお願いすると良いと思います。
これだけで、いままでのouの発音とだいぶ違うことになってきていませんか?
これだけでは終わりませんよー!
フランス語発音額の問題点
これはフランス語発音額の問題点だと前から言っていることなのですが。
フランス語の発音を学びたければ、フランス人の話す口元を見ることです。これは、他の国の言葉も同じことです。まだ話し始める前の赤ちゃんが大人たちの話している口元をじっと見ているのは、同じ理由です。赤ちゃんもこうして発音を学んでいるのです。
つまり発音の勉強に必要なことは良い聴覚ではありません。むしろ、良い観察をして、口の動き・形を完コピさえすればいいのです。
その観察は、前からだけでなく、側面、下部からもするとパーフェクト。しかし、実際のところ発音額の視聴覚の教材にそんな詳細な観察をしてくれるものはありません。実際、上のYouTubeの動画も、前方からの撮影のものだけでもほんの少しかありませんでした。
ちょっと話がそれましたが、ouの発音をより正しくしたければ、この発音をしている人の顔を側面から観察する必要があります。
そんな変なアングルでの動画は見つからないし、僕が実践するわけにもいかないので(笑)ここからは言葉だけで理解していただければとおおみます。
正しいouを発音をした時、側面から観察するとどのように口が動いているのか。一言で言えば、あごが外れるんじゃないかと思うほど前に突き出されているのです。日本人がやると、ふだん使わない部分の筋肉を使うみたいでちょっと痛くなってしまうくらい。それぼど勢いよく唇を前に突き出しているのです。
文章だけでこの唇・口・あごのフォームを伝えるのはとても難しいことです。
しかし、安心してください。実は、日本人でも、そして誰でも一発で正しいouの音を作り出す裏ワザがあるのです!
ouは、オオカミの遠吠えでつくれる☆
やり方はとっても簡単。
まず、真上を見ます。顔が90º上に向けましょう。かなり上を見ていると思います。
この状態で唇を突き出して日本語と同じように「ウ」と発音してみます。
喉の肉が突っ張るような感じがしたら成功。喉に何も感じないようなら、上向き具合が足りてません。もっとがっつり首を後ろにたおしましょう。
そうしたら、今度は同じように上を向いたまま「アーウー」と発音してみましょう。まるでオオカミの遠吠えの様になりませんでしたか🐺?
この遠吠えの「ウ」が、フランス語のouなんです。いや、本気ですって。
これ、いままであまたのフランス人に聞かせて「ほんとだwww発音完璧になってるwww」と言われてきました。
でも、頭を元の位置に戻すとなかなかこの口の形を再現することができません。
なので、一度上を向いて遠吠えの「ウー」のまま、首の力の入れ具合や口の形を変えずに頭だけ下げてみてください。はい、これが正しいouの発音です。どうでしょう。今までと同じ音が出ていますか?
おわりに
今回の記事を読んで衝撃を受けた人もいたと思います。普段何気なく意思疎通ができてしまっているから、自己流のフランス語の発音になっている人も多いと思います。まさに自分のことなのですが、日常に出てくる発音一つ一つも丁寧に分析していくと、結構自分の発音がでたらめであることに気付くことはよくあるものです。
なかなか日常生活ですべての発音を意識するのは難しいことですが、オオカミの遠吠えなら簡単に思い出せて良いのではないでしょうか。フランス語勉強中の人は、フランス語を母国語とする人にオオカミの遠吠えで自分の発音がどれだけ変わるかジャッジしてもらうのも楽しいと思いますよ^^ アーウー!!