フランシウム87

南フランスに住む日本人学生が発信するブログ。

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文系か理系か…┃好きこそものの上手なれ!

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プログラミングが小学校の授業に導入されたり、いま日本では理系教育の需要が高まっています。「就職するには理系のほうが有利」という話があるように、理系学問は今も昔も私たちの生活を支える重要な分野です。しかし、理系の需要が高いにもかかわらず、世間では進路を文系と理系の2つに分けて考えるのは、ちょっと時代遅れなような気がします。

文系・理系とは本来どのように考えるべきであるのか、文系の人は理系の勉強ができないのか(その逆も然り)、フランス留学と絡めてお話しします。

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文系・理系と分ける単純さ

一見異なる分野に属していると思える学問同士でも、実は深いところで繋がっているということはよくあります。

例えば、僕がフランスで勉強していた微生物学では、ワクチンの接種や、微生物を使った遺伝子操作など、一見すると免疫学や公衆衛生学、またはバイオテクノロジーの分野に属する内容を扱います。しかし、これらの学問を実際の生活に応用しようとしたとき、全ては「倫理」や「歴史」という文系の学問の考えを通さなくてなりません。

データを扱う「統計」は、数学・生物・物理はもとより、社会・歴史・経済でも重要な役割を担っています。国文学を勉強する際にも、自然現象を解明する環境科学の知見が必要になる場面があるのではないでしょうか。

こんな感じで、今まで私たちが便宜上分けていた文系と理系という2つの世界の間には一枚岩があるわけではなく、実は互いが関係しあい、ほとんどが混在しているのです。なので、「文系だからこれだけやればいい」とか、「理系だからあれはやる必要がない」ということは一切なく、その分野に関係することは全て網羅的に学ぶ必要があります。

 

文系でも理系が必要

日本ではいまだに文系・理系の枠組みが存在しているように思いますが、それも最近ではだんだんと隔たりが解消されてきているようです。

仮にあなたが世界史が好きで、大学で歴史を専攻したとしましょう。歴史を学ぶには、様々な文献を読み込んだり、ある特定の国・地域の歴史を学ぶ傍ら、世界の広範な歴史を学びます。また、歴史を語るうえで欠かせない政治や経済・宗教の成り立ちについても学ぶことになるでしょう。

ここまでがありがちな歴史を学ぶプロセスです(実際はもっとたくさんのことを勉強するはずですが)。

しかし、人類の歴史を学び、ある特定の地に人が定住したのはなぜか?という疑問を解決しようとしたとき、上で紹介したようなプロセスでは答えが出ないかもしれません。この場合、重要なカギを担っている学問の一つに花粉考古学というものがあります。花粉考古学とは、読んで字のごとく花粉の化石などを調べて、昔の自然環境を花粉の情報から読み解くことができる学問です。この学問を上手く使えば、人類がどのようにしてその地に定着したかという疑問に対して、何か重要な手がかりをつかめるかもしれません。しかし、残念ながら花粉考古学は文系の学問ではありません。他の考古悪と同じように地質学の中にあるため、理系分野の学問なのです。

このように、文系の学問を深く突き詰めようとしたとき、理系の学問の知見が必要になるということはよくあることです。(またその逆も然りです)これからは文系・理系という便宜上の区分は早く捨て去り、自分が勉強したい学問には何が必要なのか、学問の垣根を超えて柔軟に考える力が問われてくるでしょう。

 

文系か理系か…好きこそものの上手なれ!

つまらない文系・理系の区分のほかに、もう一つ問題なのが文系タイプ・理系タイプという考え方です。

「数学が苦手だから僕は文系タイプ」とか、「理系のイメージが暗いから私は文系タイプ」とか、そんな考えで自分で自分を型にはめてしまうのは、とてももったいないことです。そもそもこういうことを考えるのは、大学受験を控えた高校生という、まだ自分がどんな人間なのかよく理解していない時分だと思うので、ふんわりとしたイメージで自分の「タイプ」を決めてしまうのは理解できます。しかし、理想は「私はこういう勉強がしたいから○○や○○、○○といった学問を学びたい」「こういう職業に就きたいから○○や○○、○○を学びたい」というアプローチではないでしょうか。たとえそれが明確な道筋でなくても良いのです。大切なのは、自分で自分を型に入れてしまわないことです。

また、数学が苦手であっても、理系と言われている学問の中には、自分の好きな分野であれば案外できてしまうものもあります。全てをパーフェクトにする必要は無く、自分の必要なものを学ぶことが大切なのです。

 

フランスで学ぶことの利点

フランスに限らず、ヨーロッパの多くの国では大学の入学が簡単なのは今までにも書いてきたとおりです。ヨーロッパの公教育は始めるのが簡単、しかし進級するのが難しいというのが一般的です。

francium87.hatenablog.jp

 

僕はフランスの国立大学で生物学を勉強しましたが、それまで自分は文系タイプの人間だと思っていました。文系タイプだから日本での理系大学に進級するのは難しいと思い、小さい頃から興味のあった生物学の道に進むことは考えもしませんでした。しかしフランスでは大学の入学は志望動機書と最低限のフランス語力を証明するものだけで十分です。日本のような入試がなかったので、苦手意識のあった数学や物理などで入学の可否が判断されることも無かったのです。これは僕にとってありがたいものでした。もちろん、入学してから生物学を学ぶための数学や物理・化学などを勉強しなくてはならなかったので大変でしたが(笑)生物学を学べるというアドヴァンテージが大きかったので、他の学問も不思議と昔ほど苦手意識がなくなっていました。

とは言え、僕の頭の根底には世界史が大きな幅をきかせているのです。やはり、新しく生物学を学んだとしても、僕の好みが根底から覆ることはありませんでした。しかし、今まで世界史を領土争いや宗教戦争ととらえていた僕の考えは、生物学を学んだことで大きく変わりました。世界史の中には脈々と続く科学の進歩があり(また、その大きな部分を担っていたのは、他でもないフランスです)、現代の科学の進歩も、その世界史のおおきな流れを汲んでいるということです。さらに言うと、現代社会で取りざたされる生物学系の問題(前出のワクチンの是非や、微生物を使った遺伝子操作など)を考えるには、歴史に立ち返って考える必要性があることも実感しています。こうした、今まで僕の頭になかった思考回路ができたのは、やはり文系・理系にかかわらず、異なる分野の勉強をしてきたからだと思うのです。

 

おわりに

僕はそのうち、文系・理系というカテゴリーは消滅すると思っています。世間はより多くの新しいアプローチ方法を模索しています。こうした新しい潮流の中で、古めかしい文系・理系の住み分けは、もはや時代遅れになるでしょう。

日本の大学も、欧州のように「入るのは簡単、でも進級するのが難しい」という制度にすれば、もっと多くの人が「自分は理系タイプじゃないけど…でも生物学に興味があるから挑戦してみるか」と、異なる分野の学問に触れる機会が多くなると思います。もしかしたら日本でも柔軟に多くの人を迎え入れる大学が出現しているかもしれませんが、そうでなければ海外の大学に留学するのはとても有意義なことだと思います^^