フランシウム87

南フランスに住む日本人学生が発信するブログ。

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イタリア人はニンニクがお嫌い?┃ヨーロッパのニオイ事情

日本人も大好きなイタリア料理。南欧の太陽をいっぱい浴びた新鮮な食材で作られるイタリア料理はとても美味しいものです。特によく熟れたトマトとニンニクの組み合わせはゴールデンコンビではないでしょうか。

僕はスペインのバレンシアという町に留学していたときに、イタリア人とルームシェアをしていたことがあります。当然、イタリア人の主食はパスタ。毎日のようにパスタを食べているのですが、なぜかニンニクを使うことが無いのです...

 

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イタリア人はニンニク嫌い?

さすが、小さいころから作り慣れているだけあってイタリア人の作るパスタはとても美味しいものです。最後にゆで汁を加えたり、たっぷりのオリーブオイルを加えたりして、いったんシャバシャバになったように見えるのですが、しばらくするとちょうど良い歯ごたえのパスタになります。ワンダホー^^!もちろんソースもとても美味しく、いろんな野菜やハーブを使って手際よくパスタに絡めます。

そこまで美味しく作るのに、ニンニクを一切入れようとはしない。なぜか?

 

ニオイを気にする伊達男

ニンニクを使おうとしないイタリア人の彼に、何でニンニクを使おうとしないのか聞いたら「入れたくないから」としか言いません。ニンニクが嫌いなのかと思ったらそういうわけではなく、外に食べに行ったときはニンニクが入った料理も平気で食べています。

その答えがわかったのは、僕が料理をしているときでした。その日、何を作っていたのか覚えていませんが、大量のたまねぎとニンニクをキッチンで炒めていたら、部屋にいた彼がやってきて「家の中でニンニクを炒めないでくれ!体にニオイが付く!」と言われました。つまり、彼は決してニンニクが嫌いなのではなく、ニンニクのニオイが服や体に付くことを嫌っていたのです。イタリア人、たくさんニンニク食べるのに(笑)

 

ニオイは大切なエチケット

これはひとつの極端な例だとして、実際ヨーロッパではニオイのエチケットにとても気を遣います。例えばイタリア人は、学校や仕事の後にディナーや夜遊びに行くときは、必ずシャワーを浴びてから出かけていました。スペイン人も結構よくシャワーを浴びるのですが、フランス人はあまりシャワーを浴びない印象があります。フランスは水の質がよくないそうなので、紙も毎日洗うと頭皮によくないという理由で頻繁に洗わない人も多くいます。でも、いずれの国も香水をつける文化があるので、体のニオイについて気にしているのでしょう。香水は湿度が高い環境だと強く香りすぎるので(鼻が敏感になる)、日本より乾燥した南欧では香水をつけていても日本ほどいやみになることがありません。むしろ、香水の香りはその人のキャラクターになります。

南仏のグラースという町は香水の産地なので、ここで買った香水をつけている人に日本でよく会います。が、いつも強すぎるニオイで頭がクラクラしちゃうんですよね。フランスの香水で品良くまとめたいのであれば、L'ARTISAN PARFUMEURがおすすめです。僕のお気に入りは10番なんですが、残念ながら日本では取り扱っていないようです…しかも、日本で使う場合は手首や首元ではなく、ひざの後ろや腰辺りにつけると主張し過ぎなくていい感じです。

 

ちょっとクサイ…日本の街角

僕がフランスから日本に一時帰国するたびに思っていたことがあります。それは、日本の駅にある立ち食い蕎麦屋のニオイ。避けて通れないような狭い駅のホームで、換気扇から揚げ油のニオイを撒き散らしている蕎麦屋は、近くを通るだけで全身油まみれになったような気がします。もちろん、日本もフランスもほかの国も、街の中にはさまざまな臭いスポットがあります。しかし、ヨーロッパから日本に来ると、日本の飲食店ってかなりのニオイを街中に放っているなぁと感じるのです。冒頭で出てきたイタリア人が日本に来たら、ナーバスになってしまうかもしれません。

 

世界のいろんな体臭

さて、僕たちアジア人がヨーロッパで暮らしていると、たまにアジア人の間でこんなことが話題になります。それは、外国人特有の体臭。特にフランスには様々な生活様式・食文化・衣装の人がいるので、それはもう、たくさんの体臭に出会うことになります。

特に欧米系の人、アフリカ系の人の体臭は、アジア人の鼻が敏感にキャッチします。それぞれ特徴的なニオイのパターンがあるのですが、基本的に快いニオイではありません。

これをフランス人に話してみたところ、欧米人からすると、逆にアジア人に特有のニオイがあるのだそう。どんなニオイなのかたずねてみたら、ざっくり言って発酵食品系のニオイだそう。発酵食品って…チーズや納豆…

 

体臭は悪いものなのか?

一緒にいたい人かどうかを判断するひとつの指標にもなりうるため、体臭というのはかなり大切なものです。シャワーを浴びたり香水をつけたりして、自分のニオイを管理するということは、やはり大事なことなのでしょう。

しかし、体臭ってそもそも悪いものなのでしょうか。生物学では、体臭は理想的なパートナーを見つけるためのツールのひとつとして考えることがあります。私たち生き物の繁殖の目的は、子孫を残すこと。環境の様々な変化を生き抜くためには、バリエーション豊かなDNAを子孫に与えなくてはいけません。もしあなたの子孫のDNAがすべて同じだとしたら、少しの環境の変化で全滅してしまう恐れがあります。そうしたことが無いように、なるべく多様なDNAを持つことが繁殖のひとつの目的としてあるのだと考えられています。

私たちアジア人が欧米人、アフリカ人の体臭を敏感にかぎ分けることができるのは、実はこのDNAのバリエーションを作り出すためだという考えがあります。つまり、遠く離れた地にいる遺伝情報が大きく異なるパートナーを探し出すために、私たちの鼻は体臭の違いを嗅ぎ分けているのです。そういわれてみると、確かにアジア人は欧米人の体臭を、欧米人はアジア人の体臭の違いを敏感に嗅ぎ分けることの道理が理解できるような気がします。

 

まぁ、この考えは後に「確かに遺伝子の違いが体臭に与える影響があるようだが、それ以上に一日風呂に入らないほうがはるかに大きな体臭を生み出す」という調査結果が出て説得力が無くなってしまったんですがw

 

おわりに

話が脱線してしまいましたが、ヨーロッパ人はニオイに対してとても気を遣います。日本にいると自分のニオイに対してあまり対策をしなくても日々を送ることができますが、ヨーロッパではそうはいきません。ニオイひとつで対人関係が円滑になるかどうか分かれることがあるのです。特にヨーロッパの人からは、アジア人が気づかない独特の「アジア臭」があるようなので、自分が思っているよりも強く特徴的なニオイを振りまいている可能性があります。あまり神経質になる必要はありませんが、ヨーロッパで生活する場合はニオイのエチケットを頭の片隅においておくといいと思います^^