フランシウム87

南フランスに住む日本人学生が発信するブログ。

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「無言館」┃フランスに住んでいる僕がオススメする日本の美術館1選

芸術の国フランスからお届けしている当ブログも、早いもので1年以上続けてきました。

 

フランスの事じゃないし書くのどうしようかなぁ。って考えていたんですけど、そもそもこのブログって雑記だし、書いちゃえ。ってことで書きます。

この美術館はフランスに来る直前に訪れて、それからずっと皆さんに紹介したいと考えていた場所なのです。。。

 

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無言館

 

たしか、ここを知ったのは朝のめざましテレビ内で紹介されていたからだったと思います。

 

ここの美術館に展示されている絵は、戦時中、戦地に駆り出されていった画家を志していた美大学生たちの絵です。つまり、これは彼らの「遺品」なのです。

 

それが、静寂の長野の森の中に、ポツンと建てられたコンクリート製の美術館に展示されているのです。自分と大して歳の変わらなかった、しかも当時の自分よりむしろ若い歳の人たちが残していった絵画。

 

これらの絵には、傍に画家の説明が書かれているんですね。

特に印象的だったのが、戦地へ行く前夜、弟と好きだったメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲のレコードを聴いたというエピソード。もう、こんなの読んでしまったら、その後、毎回メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を聞くたびに、あの冒頭すぐに始まるバイオリンのメロディーを聴くだけで目が潤んでしまいます。

 

いつの世代でも、若い人には夢があるもの。それも、まだ成人にもなっていない希望溢れる若い人間を、つぎつぎと戦地に向かわせたことは、本当に許しがたい事。。。なんていう言葉では到底言い表せない思いが、この美術館には詰まっていたと思います。

 

 

ちなみに、この美術館も他の小規模な美術館の例にもれず財政危機に陥っているようで、絵の完全なケアができないのだそう。こういうところに財政は気をかけるべきではないかとも思うのですが、まぁ美術館はここだけではないので難しい話ですね。もし行ってみたいなぁという気持ちのある方は、是非、絵の保全のためにも足を運んでもらえると嬉しいです。

 

また、この美術館はかなりアクセスが悪いので、行くには予めしっかりとした予定を立てたほうが良いと思います。それと、冬はかなり寒いらしいので、寒さ対策もお忘れなく。(僕は夏に行ったのですが、館内はひんやりとしていた印象があります。)

 

なぜ「無言館」っていう名をつけたかって?
だって 戦死した画学生さんの絵の前に立ったら
悲しくて くやしくて つらくて
何もいえなくなっちゃうんだもの
黙るしかないんだもの

でも
たくさんの人たちに
「無言館」にきてほしい
そして黙って
画学生さんの絵の前に立ってほしい 

(窪島誠一郎 「約束 『無言館』への坂をのぼって」)

 

 

 

無言館┃TripAdvisor   

 

 

 

行って、絶対に損はしない美術館だと思います。おすすめです。