フランシウム87

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バルセロナのバレンタインは一味違う!?┃サン・ジョルディの日

今年もバレンタインが過ぎ去りました。

僕は、もう長いことずーっとバレンタインとかいう独り身の存在を無視した行事の恩恵をあやかっていないので、どうでもいい話ですが。一人で黙々と作ってたべる。これに限ります。

 

さて、日本でバレンタインは、別名「チョコレート産業の掻き入れ日」みたいなことを言われています。そもそも、聖バレンタインってキリスト教の聖人なんだから、僕たち日本人の大多数には関係のない話じゃん、と。

これはキリストの誕生を祝うクリスマスにも同じことが言えますね。

 

でも、やっぱりイベントごとがあったら、それに乗っかってお祝いしたいですよね~。

そんなイベント好きのあなたに朗報。バルセロナ式のバレンタインを祝えば、4月にもう一回お祝いができますよ^^

 

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バラの装飾が施された、アントニ・ガウディ設計「カサ・バトリョ」

 

 

サン・ジョルディの日

 

そもそも、なぜ2/14にチョコレートを贈るかというと、この日が聖ヴァレンティヌスの日であると決められているからなんですね。

キリスト教では、ヴァチカンが「聖人」として定めた人物がたくさんいます。ヴァレンティヌスの他にも、サンタクロースの元となったニコラウス、大みそかのジルベスター・コンサートにも名前が入っているシルウェステルetc. ジャンヌ・ダルクなんかも聖人としてリストに入っています(フランス語で「列聖=canonisation」と言います)。

 

その聖人の数はかなり多いのですが、彼らには記念日というのが定められています。たとえば、聖ニコラウスなら12/6、聖シルウェステルなら12/31という具合に。だから、自分の誕生日が、どの聖人の記念日なのか探すこともできます。

 

そして、聖ヴァレンティヌスの記念日が2/14なんですね。

 

さて、そんな前置きが分かったところで、サン・ジョルディの日の話。

スペイン北東部、フランスとの国境の近くに位置する、スペイン第2の都市・バルセロナは、スペインの中でもすこし独特な文化を持っています。これは、話すととてつもなく長くなってしまうので、今日は書きませんが、簡単に言うと、統治されていたのがスペインでもフランスでもない「カタルーニャ」というものだったからなんですね。

このカタルーニャという地域は、長い歴史の中で政治的に圧力がかけられていたのですが、近代になってその圧力がなくなり、現在ではカタルーニャ文化の独自性が住民たちのアイデンティティとして重要視されているのです。

このカタルーニャという言葉がさす地域は、どの時代区分を切り口にするかで範囲が変わってきてしまうのですが、現在ではカタルーニャ最大の街・バルセロナと、それを中心に点在する町々という認識で良いと思います。大変大雑把な扱いですが。

 

そんな、スペインともフランスともちょっと違うカタルーニャ。ここでは、恋人に贈り物をする習慣はヴァレンタインデーではなく、サン・ジョルディの日なのです。

 

 

 

サン・ジョルディとは?

 

「サン」というのは、「聖」を意味します。英語でいうところの「セント」にあたる語です。

「サン」が頭についているので、自ずと「ジョルディ」は聖人であることが予想できると思います。

 

ジョルディという人物は、日本では「ゲオルギオス」や「ゲオルグ」という名前で聞いたことがあるかもしれません。絵画が好きな人なら、宗教画で、馬に乗った男性がドラゴンを倒すシーンを描いた絵を見たことがあるかもしれません。もし、その絵にバラと乙女が一緒に描かれていたら、ほぼ間違いなくその馬に乗った男性はゲオルギオスです。

これはキリスト教の伝説に基づいたものであり、昔ドラゴンの生贄に捧げられた王の娘を、ゲオルギオスが助け出し、流れたドラゴンの血の跡から美しいバラの花が咲いた…というものです。

 

ちなみに、ゲオルギオスさん、フランス語バージョンだと「ジョルジュ」です。あの、ショパンと恋愛関係にあった女流作家、ジョルジュ=サンドの名前の中にも入っています。

英語バージョンは「ジョージ」。何でもないようなことが幸せだったと思えそうになるお名前。

 

歴史的にバルセロナを含むカタルーニャ地方と関係性の強かった地域に、このサン・ジョルディを守護聖人としてまつる文化が強かったため、今でもその名残つぃてカタルーニャではサン・ジョルデイを他の聖人たちよりも特別視しているのです。

また、彼の英雄譚がお姫様を怪物から助けるというロマンチックなものであること、バラという、これまたロマンチックな花がモチーフであるという事で、バレンタインのような「恋人の日」と目されるようになったわけです。

 

 

対象は恋人だけじゃない!

 

サン・ジョルディの日の特筆すべき点の一つは、贈り物をする相手は恋人に限らず、家族や友人、その他親交のある人は職場の人など、あらゆる人が対象になるという事です。恋人がいなくても楽しめる日という事です^^

 

もう一つ中メ期すべきところは、この日はチョコレートを贈るのではなくて、本かバラの花を送るという事。んーなんて文化的。

バラを送る理由は、前に書いたようにサン・ジョルディの伝説にバラが登場しているから。

 

本を贈る理由は、スペイン最大の作家と称されるミゲル・デ・セルバンテス(「ドン・キホーテ」を書いた人物)の命日であること、また、イギリスの大作家ウィリアム・シェイクスピアの誕生日・命日であるとされていて、2人の偉大な作曲家にゆかりのある日という事で、本を贈るのだそうです。

 

僕は実際サン・ジョルディの日をバルセロナで過ごしたことがないのですが、この季節には市内のいたるところに本屋が立ち並び、朗読会などのイベントも頻繫に催されるようです。なかなか独特な文化ですね。

 

 

 

本を贈ってみては?

 

美味しいチョコレートを買って、それを楽しむのも魅力的ですが、4/22には恋人や友人、家族に本を贈ってみるというのはいかがでしょうか?

本だといろいろなジャンルがあるので、相手の事を考えながらどの本を選ぶのか考えるのも楽しいですよね^^