フランシウム87

南フランスに住む日本人学生が発信するブログ。

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フランスのクリスマスで見つけた意外なもの

僕の住む南仏モンペリエの街も、12月に入った途端すっかりクリスマスモードになりました。

 

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モンペリエのクリスマス風景

 

モンペリエはパリと比べると、普段は「あれ、ここってフランスだっけ?」と思ってしまうくらいファンシーさに欠ける街なのですが、やはり年末に向けて歴史ある街並みがどんどん華やかになっていきます。そんな風景を見ると、あぁ今年も1年が終わるんだなぁとしみじみしてしまうのです。

大学の授業がいったん落ち着くクリスマス休暇。僕の大学は休暇明けがすぐに試験期間となるため、「vacances de Noël(クリスマス休暇)」というのは名ばかりで、実際は試験準備期間となるため、なかなか心が落ち着きません。そのため、今までクリスマスシーズンになっても町中をブラブラすることがなかったのですが、今年はちょっと気分を変えてクリスマスのモンペリエを散策してみました。

街の中心広場には子供たちが乗るアトラクションが作られていたり、広く延びる遊歩道にはクリスマスマーケットが立っていて、店先に並ぶvin chaud(ホットワイン)を温める大きな鍋から湯気がのぼっているのを見ると、なんだかこころがほっこりとします。

街の路地は大小さまざまなところが、それぞれ趣向を凝らしたキラキラしたデコレーションで飾り立てられていて、ウインドウショッピングもいつもよりずっと楽しくなってしまいます。年明けにはみんなの待ち望むセールがあるのですが、これだけ買い物が楽しくなってしまう工夫がされているとついつい何か買って帰りたくなってしまいます。

 

 

礼拝堂にて

 

街のあちらこちらを歩いて回っているうちに日も暮れてしまいました。

南仏というと「太陽」というイメージがあるので、冬は暖かいだろうと思う人もいますが、実際は結構寒いのです。北の町と比べればまだマシな方ですが、空が澄んでいる日の冷え込みは厳しく、モンペリエと言えども冬はしっかりとした防寒対策が必要になります。

 

裏路地を歩いていると、いつもは扉が閉じているこぢんまりとした、でも構えは立派な建物を見かけました。覗いてみると、中には子連れの家族がいます。

中に入ってみると、そこは礼拝堂でした。教会ほど大きくはないのですが、石の床の上にいくつもの木のベンチが並んでいるのをみると、冬の教会特有の、なんとも寒々しい感じがします。

しかし、この礼拝堂は少し様子が違います。子供たちが賑やかな理由は、礼拝堂の内部に飾られたcrèche(クレッシュ)と呼ばれる、キリストの誕生を模したジオラマがあったからです。

 

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左手に飾られているのがcrècheなのですが、主にサントン人形と呼ばれる南仏発祥の焼き物の人形を使って飾られています。

 

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この手のクリスマスの飾りは、この時期ヨーロッパのいろいろな町で見かけることができますが、南仏のものは小さく手が込んでいて、可愛らしい感じがします。ジオラマといっても、中には水を通して小さな小川が作ってあったり、それによって水車が回るような仕掛けになっていて、その動力で人形が動いて…と、大人が見ても結構楽しめる仕掛けになっています。

 

それにしてもこの礼拝堂、今まで扉が開いていなかったから存在を知らなかったのですが、説明書きを見ていたらなかなか面白い場所だという事が分かってきました。というのも、この礼拝堂はconfrérieと呼ばれる、日本語では「フラタニティ」と呼ばれる組織によって使われていたのだそうです。

confrérieとは、男女のカトリック信者で、特に聖職者であるわけでない、ごく一般の信者が隣人愛の実践のために組織されたものだそうです。教会の組織とは異なり、一般の人たちにより自発的に作られた団体みたいなんですね。なので、礼拝堂の内部には日ごろよく目にする教会とはちょっと異なる装飾があるのです。

 

特に目を引いたのが、この礼拝堂を拠点としていたconfrérieのメンバーが中世のころに身に纏っていた衣服。これが僕にはどうしても、アメリカのあの有名な白人至上主義のKKK(クー・クラックス・クラン)の衣装に見えてしまうのです。

 

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KKKみたいな衣装も、しっかりサントン人形となって礼拝堂内で売られていました。でも18€って…いったい誰が買うんだろう…。

 

ちなみに、この頭まですっぽりと覆われた衣服はconfrérieの活動期の初期に使われていたものだそうで、その後はすぐに頭部は外に露出する形態に変わったそうです。

そもそもなぜ頭部を隠すのかというと、それは自身の恭順さを示すためなのだそう。うーん、それにしてもこの異様な見た目は恭順というより威嚇な気がしないでもないんだけど。。。

 

でも、よく考えてみたら、僕がスペイン留学中にバジャドリッドという歴史ある街で見たカトリック聖週間の行進(proceción de la semana santa)では、特に権威ある団体の列は同じような頭からすっぽりとかぶるタイプのとんがり頭の衣服で、しかも布は真っ黒だったのを思い出しました。KKKがヨーロッパからの流れをくむ白人至上主義という幻想にこしつしているしゅうだんだとすると、案外あの独特の衣装のルーツはカトリック教会の今回みた衣装にあるのかもしれないですね。もっとも、KKKは身分を明かさないため+恐怖心をあおるために頭巾をかぶったわけですが、カトリック教会の頭巾は恭順の心を表しているわけで、意味するところは全く別物なのですが。

 

 

いつも通り、そんなとめどないことを考えながらクリスマスの街をぶらぶらしました。

これからクリスマス、大みそか、新年と、楽しいイベントが盛りだくさんの時期になりますね。Bonnes fêtes^^!