フランシウム87

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フランス語の難しい発音┃siの発音を「シ」と言っていませんか?

フランス語を話していると、僕たち日本人はどうしてもフランス語の発音の壁にぶつかります。

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mokuji

 

 

難しいのは"r"の音だけじゃない

 

以前のエントリー(そんなに気にする必要のない音┃フランス語のRの発音はどうやって出す? - フランシウム87)でも解説したのですが、フランス語の発音の難しさの代名詞的存在と言っても過言ではない"r"の音は、実はそんなに神経質になる必要はないのです。

フランス語の発音の中には、もっとフランス語をネイティブに話す人の耳に障るような音があるようなんですね。

今回は、その中でも特に日本人に対して指摘される頻度の高い"si"の音について書いていきたいと思います。

 

 

 

頻出単語の"si"

 

S'il vous plait.

フランス語を勉強したことがない人でも、シルブプレ~というのは耳にしたことがある、というほど日本では有名なフレーズですね。

しかし、このフレーズ。「シルブプレ」と書いたときに、発音的に大きな間違いが2箇所あります。さぁ、どこでしょうか。

 

答えは「シ」と「ブ」です。

 

フランス語で"si"は、日本語では「スィ」のような音になります。

また、"v"の音は「ブ」ではなく「ヴ」の音です。なんだか英語のようですね。

(カタカナでの発音表記はあくまでそれに似せて書いてるだけです。正確な音をあらわしているわけではないので注意してください。)

 

 

"si"の問題を追え!

 

"si"は「スィ」と発音する。

これはかなりフランス人から会話の最中にも指摘を受けるところで、なんでも「シ」と発音すると汚い音に聞こえてしまうそうなんです。

他にもどんな単語がこの発音をするかというと、société,science, persil, démocratie etc.

s, c, sc, t + i  この場合には「スィ」になるようですね。

 

しかし、例えば"cinq"の場合は、"in"つまり鼻母音の一員として機能しているわけなので、「スィアンク」とかにはならないわけです。まぁ、ここら辺は聞きなれた単語なので問題ないでしょう。(参考:フランス語の鼻母音。日本人にわかりやすいvoyelles nasalesの発音の仕方 - フランシウム87

もう一つ注意点をあげるとすると、"station"の場合は"on"が鼻母音として成立しているので、"i"は鼻母音の要素には含まれず、前の"t"とくっついて音を構成します。「スィオン」となりますね。

 

 

 

ムッシューと呼んでも振り向いてもらえないかも?

 

ちょっと難しいのが「ムッシュー」という発音で知られている"monsieur"

日常生活で頻繁に出てくる言葉ですが、上で紹介した規則にはあてはめて考えると、この単語は「ムッシュー」でないことが分かるでしょう。

前半の"mon"の部分は不規則な発音ですので「ム」のままで良いのですが、後半はちょっとややこしいです。

まず"si"は「スィ」となりますね。そのあとには"eur"が続くのですが、語尾の"r"は発音しないものとして無視すれば"eu"となり、動詞avoirの過去分詞と同じ形・音になります。

つまり、"monsieur"の後半部分は"si"と"eu"の二つの音を明確にわけて発音する必要があるわけですね。明確にわけるといっても、分断するわけではありません。あくまで息は一続きですが、ここに2つの音の違いがあることを意識しなくてはならないのです。

つまり「ムスィウ」という音に近くなるわけです。

 

Merci, monsieur!なんて、よく考えたら発音の難しいフレーズですね。

 

 

 

全部「スィ」と発音するわけではない

 

さて、ここまで読んでくれた方はこう思うでしょう。

「シは全部スィに置き換えればいいんだ^^カンタンー」と。

 

残念ながら、フランス語はそんなに親切な言語ではありません。

 

例えば、日本ではひよこ豆として知られている"pois chiche"は「ポワ・シシュ」と言い、「ポワ・スィシュ」にはならないのです。

アルファベットの配置をよく見てください。ch+i の組み合わせは、上で紹介した「スィ」の音を作る組み合わせ群の中にはなかったですよね?

この場合、"chi"は「シ」になるのです。

 

「なーんだ!日本語と同じ「シ」の音なら簡t...」 否!

この「シ」の音、確かにカタカナで書けば「シ」なのですが、実際は日本語にない音なんです。

正式名称を「無声後部歯茎摩擦音」と言うそうなんですけどね。名前なんてどうでもいいわけです。英語にもこの音はあって、これが英語学習者を悩ませているようなんですが、フランス語にもしっかりあるんですね。

どんな音かというと、無音の「シ」と言われていることからもよく分かるように、シューと息が漏れてるのか声が出てるのか…ぐらいの音なんです。

 

それでは、/ʃ/を正しく発音するにはどうしたらよいでしょうか?まず、舌の両側を丸めます。しかし、その時に舌が口の上部に触れません。舌と歯茎の隙間から息を出します。/ʃ/は無声の音ですので、声帯を振動させずに発音します。唇を少し丸めると、よりネイティブらしい発音に近づきます。 -英語の発音の記号 - /ʃ/ ネイティブの発音のガイド | 英語 with Luke

 

僕的な説明をさせていただくと、以前書いた”je”の発音に共通するところがあります。日本人の得意とする、明るく明瞭な「ジュ!」ではなく、中国人がいうような、口の中にたくさんの遊びを持たせたような音…

 

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今回の発音を発音記号で見てみましょう

 

さて、今回見てきた発音は発音記号にすると、

 

「スィ」→/si/

「シ」→/ʃi/

 

発音記号はたくさんあるので、少しづつ覚えてゆくとよいでしょう。

フランスに実際に留学する人は、フランス語の語学学校ではphonétiqueという音声学の授業でビシバシ覚えさせられることになります。

コツは自分の脳内にある発音のレパートリーを、発音記号に紐づけてゆくのが一番だと思うのですが、ここら辺のことはまた今度。

 

日本で教材を買う場合は、この本が評価が高いようです。実際にフランス語を勉強している人の何人かはこの本が役に立ったといっていました。

 

やさしいフランス語の発音
小島 慶一
語研
2002-09-01
 
 
 
 
 

まとめ

 

フランス語を話すときに"si"の音を「シ」と発音していると、フランス語的にはあまり響きの良くない音なのだそう、ということを伝えたくて今回のエントリーを書きました。

しかし、すべての「シ」の音がいけないわけでなく、似たような2つの音を発音記号から見てみると/s/と/ʃ/の2種類があるのです。

辞書を引くときは、単語の意味と一緒に発音記号もチェックするようにすると効果的でしょう^^

 

最後に、今回の発音をフル活用した早口言葉を一つ。

Si six cents scies scient six cents cigares, six cent six scies scieront six cent six cigares.

 

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