「倍」は何倍?97の数え方は?┃意外と難しい日本語の数え方
フランス語を勉強をしていて、数字の数え方の難しさに勉強の意欲がそがれてしまった…なんて経験はないでしょうか。
僕は英語、スペイン語を勉強した後にフランス語を勉強したのですが、それでもフランス語の数字の数え方のシステムに、最初は苦しめられました。
しかし、反対に日本語のシステムは海外の人の目にどのように映っているのでしょうか?今回は視点を、海外から日本に向けてみて考えてみます。
「倍」は何倍?
先日、LINEニュースで「倍」に関する記事を読みました。
元記事のURLが見つからないので、かいつまんで説明します。
その記事によると、日本語では「倍」も「2倍」も、どちらも「2倍」を表すということが書かれていました。よく考えてみると、これって面白いですよね。
数学的に書くと、「倍」をnとしたとき、1倍は1n、2倍は2n、3倍は3n...となります。しかし、ここから数字をとってnだけとにしたとき、「2倍」の意味になるのです。
日本語を母語としている私たちにとって、「倍」という言葉が「2倍」という意味(つまり「×2」)で使うことに何の疑問も持たないと思います。しかし、日本語を外国語として勉強している人からすると、これがちょっと厄介なんだそう。
実際に、僕の友人(メキシコ人)に、「なんで日本語で倍と言ったら2倍なのに、1倍と言ったら1×2=2で2倍の意味にならないんだ」と聞かれたことがあります。
先のラインニュースでは、「倍」という言葉は古来日本に存在していた和算で「2倍」を意味していたと説明がありました。明治維新後の日本の近代化によって数学に西洋の方法が取り入れられてから、1倍、2倍、3倍(英語で言うところのone time, two times, three times)という数え方が流入・定着しましたが、それでも「倍」という言葉が「2倍」を表す概念は残ったのだそうです。
また、現代では正確に2倍のことを表さなくても、概念的に大きくなるものの数え方として「倍」という言葉が使われることもあるそうです。例えば、「倍返し」「人一倍努力する」など。
フランス語で1倍、2倍、3倍を表す言葉は?
ここでクイズです。皆さんはフランス語で1倍、2倍、3倍…を言えますか?
2倍はdouble、3倍はtriple、以降、quadruple、quintuple、sextuple、septuple、octuple、nonuple、décuple
ここまでなら雑学として知っている人も多いでしょう。
では、1倍は?
1倍はフランス語でsimpleだそうです。僕は今まで知りませんでした…言われてみればなるほどなぁと思いますが、普段の生活ではune foisと言うことしかないので、気にしたことがありませんでした。
ちなみにsimpleの語源は、ラテン語の"simplex"で、意味は「単一の物質で構成された(物)」という意味です。その反義語には、complexやmultiplexがあります。どちらも複数の要素から構成されているイメージです。
つまり、simpleには「組み合わされていない」という意味があり、それが1倍という意味につながります。この「組み合わされていない」という意味は、例えば飛行機やバスのチケットを買うときに出てくる"Aller simple"という言葉でも使われています。
意外と難しい?日本の数え方
この画像を見たことありますか?
見てわかるとおり、国ごとの97の数え方を紹介したものです。
僕たちを苦しめるフランス語も大したものですが、デンマークの複雑さは常軌を逸しています。多分、僕はデンマーク語を勉強することはないでしょう…(笑)
ここで意外だなと思ったのは、日本語が意外と難しい立ち位置にいるということ。確かに、英語で例えば30を言いたいときには、30にしか使われないthirtyを使えばいいわけですが、日本語のサンジュウは3×10という組み合わせた言い方をしていますね。
生まれてからずっと使っていれば何の問題もなく言えてしまいますが、こうして改めて数式という世界のスタンダードな方法で記述すると、今まで何の難しさも感じなかったものでも、意外と複雑だったんだと気づきます。
とはいえ、フランス語の複雑さは段違いだと思いますが(;´∀`)
おわりに
外国語を勉強すると、様々な事柄をほかの視点から、客観的に観察する機会が増えます。今回書いたことも、日本語しか話していなければ興味を持たない事柄かもしれません。フランス語に限らず、母国語以外の言葉を習得して、様々な情報を読むことができるようになると、言葉を一つしか操れない人よりも多くのことをとらえることができるようになると思います。日々精進で、外国語をマスターしましょう^^