フランシウム87

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スペインの古都 『トレド』┃マドリッドから近い観光の穴場

今週のお題「好きな街」

ヨーロッパ生活の経験の中で、僕にとって好きな街はスペインの古都、トレドです。

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マドリッドからアクセス便利な街

 

トレドという町は、スペインの首都、マドリッドからさほど離れていません。

マドリッドにあるPlaza Eliptica駅のバスターミナルから出る"Alsa"という会社のバスで行けば、1時間~1時間半ほどでついてしまいます。

バスは、8時~23時までの間で運行していて、だいたい1時間に4本ほど行きと帰りのバスが出ています。

(トレドからマドリッドに帰ってくるバスは、21時以降、00分発と30分発の1時間に2本の運行になります!)

しかも往復9.75€と、めちゃめちゃ安い金額で行けてしまうのです!

(行き5.42€、帰り4.33€。なんで帰りが安いのかは不明。)

 

というわけで、スペイン留学中、最初の4か月間はマドリッドに住んでいたのですが、その間に5回ほどトレドに行っています。

行きやすくて魅力的な街なんて最高!

 

(上のバスの情報は2016年3月現在のものです。こちらのバス会社のサイトから運行情報などゲットできますよ→Hacemos tu viaje en autobús más fácil - ALSA

 

スペイン弾丸ツアー!マドリッド滞在3日間!でもマドリッドだけじゃなくての町にも行きたい…っていう、超欲張りさんの要望もかなえられるアクセスの良さって、ヨーロッパの首都近くの観光地というカテゴリーでは、かなり例外的に利点を持っている街だと言えるでしょう。

 

パリ周辺だったら、サン・ジェルマン=アン=レーくらいにしか行けないでしょう…まぁ、あそこもあそこで好きですがw

 

 

トレドってとっても小さくてかわいらしい町なんです

 

トレドの町は城壁で中と外に分かれています。

観光にお勧めなのは城壁内部、つまり旧市街側です。

旧市街の面積はとても小さく、速足で回れば1時間もかからないほどなんですが、町の中にはいろんなスポットがあって、何度歩いても飽きない街並みなんです。

それに、面積こそとても小さな町なんですが、道が迷路のように入り組んでいるため、RPGの探検みたいにいろんな道を回って楽しめるのも一つの魅力です。

 

 

 

トレドには何がある?

 

RPGみたいな町だと言いましたが、実際トレドは「町全体が博物館」、なんて言われるくらい、中世から時間の止まっている街並みが魅力的なんです。

トレドにあるお土産屋さんはゲームの世界に出てくるお店みたいなんですよ!

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[勇者はイベリアのつるぎをかった!]

こんなお店が町の中心にはひしめき合っているんです。

中世グッズのほかにも、トレドは昔から象嵌細工(金細工)で有名な街で、店の奥でおやじさんがちまちまと金をアクセサリーに嵌めている姿が見られます。

値段もとってもリーズナブルなんので、ぼくはここでよく金細工のしおりを買って、日本へのお土産にしていました。

トレドってこんな町なんだよ~の土産話にもなるし、しおりだったらみんな使ってくれそうだし。

 

 

 

キリスト教のカテドラル、イスラム教のモスク、ユダヤ教シナゴーグが集まってる

 

これ、結構レアだと思いませんか?

こんな3つの異なる宗教が狭い空間に納まってるっていうスポット、他にはイェルサレムくらいしかないんじゃないでしょうか?

 

なぜこんな事になっているかというと、スペインの歴史が深く関係しています。

レコンキスタという言葉を知っていますか?

世界史を勉強した人なら聞いたことはあると思いますが、レコンキスタとは、スペイン語で「再征服」という意味です。

スペインとポルトガルの位置している、ヨーロッパ西端の飛び出た半島はイベリア半島というのですが、このイベリア半島キリスト教徒→イスラム教徒→キリスト教の順番に征服されてきたのです。

この2度目のキリスト教徒の視点から、「イベリア半島イスラムの手から取り返したぞ!再征服だ!」ということで、レコンキスタという言葉が世界史の中で重要になっているのです。

 

そして、昔はマドリッドではなくトレドがスペインの中心地だったのです。

つまり、トレドという町はキリスト教徒やイスラム教徒たちに変わるがわる征服されてきた町ということですね。

なので、その時代その時代に征服した人たちが教会なり礼拝所なりを建ててきたのです。

 

で、ここでトレドならではのミステリーがあります。

歴史の常として、征服したものは征服されたものの文化を破壊しようとします。

特に、宗教にかかわる建造物は破壊の対象になりがちです。

でも、トレドには3つの宗教の建物が、今でも残っていますよね。

昔は文化の中心地であったくらい重要な街であった、にもかかわらずです。

 

これはなぜかというと、実は中世のスペインにおいて、イスラム教徒とキリスト教徒、そしてユダヤ教徒というのは結構仲の良い付き合いをしていたようなのです。

(かなりアバウトな言い方をしています。時代のある部分によっては教徒同士の殺戮もあるにはありました。)

特に、文化面では異なる宗教を持っている者同士が、お互いのノウハウを伝えあって発展していったのです。

これが、元・スペインの中心地であるトレドでは、ものすごい文化の進化に繋がったんですね。

 

その名残で、現在でもこの異なる3つの宗教の建造物が、トレドという小さな町の中で見ることができるんです。

トレドって、歴史的にも珍しい町なんですよ~!!

 

 

 

特にスペイン・カトリックの総本山であるカテドラルは必見!!!

 

いや、このカテドラルの装飾のすごさには肝を抜かれました。

まず、僕はカテドラル(=大聖堂)を見るときには、パイプオルガンの数を数えます。

だいたい大きなカテドラルであっても、パイプオルガンって2機あれば大したものなんですよ。

ところが、このトレドのカテドラルには3機あります!3機!!!

内、2機は主祭壇側とその反対側に向かい合わせに配置されているのですが、これは金の装飾がされたきらびやかなものなんですね。

残りの1機はどこにあるかというと、側面出入り口の上に設置されているんです。

これがまた、材質は分かりませんがきらびやかでなく、黒檀のようなシックな木の色で、慎み深く、でも威厳をもっているんですね。

僕は、このパイプオルガンを見ただけで「あぁ、トレドに来た甲斐があった…」と思えてしまうのです^^

 

…でも、普通の人はそれだけじゃつまらないと思うので、一応他にもすごいところがあるんだよ。っていうのを紹介したいと思います(笑)

とにかく、スペインのカトリックの総本山というだけあって、でかいです。

そのなかにあるでっかい主祭壇の装飾が、これまたダイナミックです。

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ごちゃごちゃしてて、なんだかわからない

職人の果てしない努力と思いが伝わってくる、素晴らしい芸術品ですね。

キリストの一生の物語を題材にしているのですが、実物はこれがギラギラ金で輝いてるんですから、圧巻です。

 

カテドラルだけでも規模が大きいので、かなり見ごたえのあるスポットです。

 

 

 

お勧めしたいトレドの教会

 

もし、スペインの絵画に興味があるのなら、トレドのサント・トメ教会は外せません。

なぜなら、この教会はトレドで活躍した中世の画家、エル・グレコの作品「オルガス伯の埋葬」を所有しているからです。

 

エル・グレコという画家は結構独特な絵を描いていて、マドリッドプラド美術館にも彼の絵だけが展示されている部屋が2つあります。(確か2つだったはず…)

僕は、彼はベラスケスとゴヤに匹敵するほどの、スペイン絵画史の中では重要な人物だととらえているのですが、彼の大作の一つが、このサント・トメ教会にあるのです。

 

日本でも2013年に東京都美術館でエル・グレコ回顧展が開かれてましたよね。

岡山の倉敷にある大原美術館にも、彼の絵が1枚所蔵されています。

 

余談ですが、イタリア語でギリシャ人は「greco」、そこにスペイン語の男性形定冠詞「el」がついて、エル・グレコというあだ名がついたんです。

実際、彼はギリシャ出身の画家で、スペインまでたどり着いたんですが…「theギリシャ人」って名前、いくらなんでもダサすぎる…

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トレドで宿泊を考えているのなら、ぜひスペイン国営ホテル(パラドール)へ!

 

スペインには国営ホテルなるものが存在するのです。

パラドールというのですが、すごいのが歴史的建造物をそのまま改装してホテルにしちゃってるんです。

そして、ここトレドには、アルハンブラ宮殿で有名なグラナダのパラドールと肩を並べるほど人気なパラドールがあるんです。

 

っていっても、お値段高めだし、シーズンによっては連日満席なのは当たり前なので、運が良ければ泊まれる、くらいでホテル検索してみてください。

めちゃめちゃ運がいいと、ネット上でかなりディスカウントされてるみたいなので探してみる価値はあると思います。

世界最大の宿泊予約サイト、Booking.com

(日本人の友人は、ネットで見つけたプロモーションを利用して、グラナダのパラドールに50€で宿泊してました…羨ましすぎる)

 

また、トレドのパラドールは旧市街を見渡せる絶景スポットとしても知られているため、その景色を見るためにホテルのカフェテリアだけを利用する旅行者も多いです。

時間にゆとりがあれば、思い出作りに良いスポットですよ!

 

 

 

トレドの隠れた銘菓、マサパン

 

トレドにはマサパンという伝統的なお菓子があります。

これは、アーモンドの粉を原料としたお菓子で、なかなかカロリーの高そうなリッチな味わいのお菓子です。

スペインでは結構メジャーなお菓子で、クリスマス時期になるとポルボロンやトゥロンなんかと並んでスーパーで大量に売り出されます。

新鮮出来立て!なお菓子ではなく、どこかの工場で作っているんだろうなぁ…っていう品質なんですが、アーモンドの独特の香りが珍しい、美味しいお菓子です。

日持ちもするので、お土産にも適しています。

 

 

 

いかがでしょう!トレド!

 

僕のマニアっぷりが表れたトレド紹介記になってしまいました(笑)

でも、欧州からの観光客はもちろん、日本人からも常に観光地として評価の高い町であることは事実です。

マドリッドから短時間で行けるというアクセスの良さを利用して、スペインに旅行する際は、ぜひ訪ねてもらいたい素敵な街です^^

 

 

 

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