語学を勉強するために意識したい3本柱
外国語を勉強することは簡単なことではありません。一部の特殊な人を除いて、基本的に多くの時間と労力をつぎ込まなければ外国語は身に付きません。これはスポーツや音楽などの技術の習得ととても似ていて、繰り返し何度も練習することで身につくものなので、それに乗じて時間もかかります。
しかし、語学学習には押さえるべきポイントというものがあります。これを意識して日々の勉強をすることで、学習の成果は飛躍的に上がりますし、反対におろそかにすると、いつまでたっても満足のいく成果がでないかもしれません。
今回は、語学学習をするために意識したい3つのポイントを紹介します。
久しぶりのスペイン語学習
私事ですが、最近スペイン語を勉強しています。
以前このブログにも書いているのですが、僕は19歳のころにスペインに留学していたことがあり、スペイン語を喋ることができます。そんなスペイン留学も、気づいてみれば10年前のこと(!)。10年ひと昔と言いますが、やっぱり10年もまともにスペイン語を話していないとあちこち忘れてしまっています。
で、最近日本でスペイン語を使う仕事ができそうなので、実家から白水社の「中級スペイン文法」という分厚い何の面白みもないスペイン後の文法書を引っ張り出してきて、時間を見つけて文法のおさらいをしています。もはこぼれ落ちたものが多すぎて、おさらいというか、おすくい状態…(*_*)
そんな中、最近スペイン語のエキスパートの方とスペイン語に関してお話する機会があり、その中で冒頭で紹介した語学学習のための3本柱という話題が出ました。ちょうど僕も同じようなことをこのブログで書いたこともあったので、今回は改めてその内容を説明します。
さて、語学学習で必要な3つの柱とは何だと思いますか?ヒントは、“言語”を構成している3つの要素です。
語学学習のための3本柱
音
まず一つ目は音です。
私たちが何か言葉を使って話すときには、必ず音がありますね。フランス語は発音が日本語のそれと異なる部分が多いのでかなりややこしい部分だと思います。言語を表すlangueという単語も、元は発音を司る器官の一つである「舌」からきていることからわかるとおり、言葉において音(発音)はなくてはならないものです。
じゃあボディランゲージは?となりますが、これは言葉というより伝達手段であり、言葉を構成する要素ではありません。手話なども、既に存在している言語をほかの伝達手段(ここでは手)に置き換えているものなので、元の言語を構成しているわけではありません。
語
語とは単語のことです。文章を作るうえでの最小の単位で、これがなければモリエールもゾラも何も書けなかったことでしょう。
このブログでは何度も書いていますが、単語は語学学習の基礎・土台であり、要でもあります。暗記が苦手な人には難しい部分ですが、毎日根気よく繰り返し繰り返し挑戦することで、確実に頭に刻み込んでゆくことができます。じゃあ、どれくらい単語を暗記すればいいの?という疑問がわいてくると思いますが、それについては過去のこちらの記事で詳しく書いています。
文
単語を覚えて発音よく音を発したとしても、文章になっていなければ、それは言語というにはまだ未熟な段階です。文章を作るためには文法をよく知り、適切に使わなければいけません。料理をするときに、上等の食材と素晴らしい腕を持った料理人をもってしても、料理の順番がめちゃくちゃだと美味しい料理は作れません。僕の先生はこれをsyntaxeといっていました。日本語だと「統語論」といい、「文法」と同じものとして理解しておいて良いでしょう。つまり、発音や語彙力と同時に、文法の知識・力も養わなければならないのです。
フランス語を勉強している方のなかには、syntaxeという言葉をréthoriqueという言葉とともに聞いたことがあるかもしれません。réthorique(修辞論)とは「言葉の芸」とも言われるように言語を装飾するためのものであり、声の抑揚のテクニックや、前に出てきたボディランゲージのような身振り手振りもこれにあてはまります。
言語学習はバランスよく
この3つの柱を知っているだけでは意味がありません。これらは常に、同じように力を伸ばしていかなければいけません。つまり、あちらが立てばこちらが立たぬ、ではダメなのです。単語だけ知っていも文法がめちゃくちゃだと、相手に伝わりづらくなります。文法が完璧であっても発音が全く耳になじまないものであれば、これもまた相手に伝わりづらいでしょう。発音も文法も完璧であっても語彙数が少なければ、子供を相手にするときのような簡単な会話であればまだしも、あらゆるシーンの中で繰り広げられる会話にはついていけません。
この3つのポイントを語学学習者は常に意識して、日々の勉強に取り組まなくてはなりません。(自戒を込めて書きます…)
効率よく3つの柱を意識して勉強するために
もちろん、このブログで今まで書いてきたことをチェックしていただければその中に多くのヒントがあると思います。今回改めて書くならば、フランス語学習のcompréhension écriteとcompréhension oraleの2つの勉強方法を改めて考えるのがポイントではないかと考えています。というのも、前者では語と文のバランスの良い学習ができますし、後者では音に関する勉強が網羅的にできるからです。
スペイン語やイタリア語などの比較的発音が容易な言語と異なり、フランス語の学習ではcompréhension oraleの学習の一環としてphonétique(音声学)が独立していることがほとんどです。相手の言っていることを理解したければ、まずは自分の口と耳を正しいフランス語に慣らしましょう。そうすることで、相手にも伝わりやすく、相手の伝えたいことも理解できるという一石二鳥の効果を実感すると思います。
おわりに
やっぱり外国語の勉強って難しいですね。僕はまだ多くの時間を勉強に使うことができるのでいいのですが、日々限られた時間の中で外国語を勉強するときは、常に語学学習のポイントを念頭に置いておかないと、あっという間に時間だけが過ぎて行きます。
今回の記事が3本柱をバランスよく伸ばすために、自己学習をどうしたらいいか改めて考える機会になってくれればうれしいです^^