ピーターと狼は、フランスでは本当に子供向け音楽だった
僕はフランスに着いて最初の一年間はベビーシッターをしていました。
フランス人の家族と一緒に生活して、フランスの子供がどんな生活を送っているのか、という事を知ることのできた、いい機会でした。
そんな生活の中で、さすがフランスだな。と思ったことがあったので、紹介します。
ピーターと狼
プロコフィエフというロシアの作曲家が作った、ピーターと狼という曲があります。
この曲は子供向けに作られた音楽で、音楽と一緒に物語のナレーションもついているのです。
子供向けの曲とは言え、さすが近代ロシア音楽の重鎮であるプロコフィエフの作品だけあって、聴き応えのある一曲です。
また、登場人物・動物それぞれに楽器が割り振られているため、音を聞いてその場面には今だれが登場しているのか、ということをイメージができるというのも、新しい感覚を働かせることができて面白いものです。
フランスでは…
もとはと言えば、ピーターと狼は子供向けの音楽なのです。しかし、日本では大人でも、なかなか耳にすることがありませんよね。
それが、フランスの子供向けの番組で普通に流れているのです。
僕はこれを見たとき、なんて洒落た国なんだチクショーと思いました。しかも、その時シッターをしていた男の子(5歳)は、このピーターと狼が好きなようで、ピーターのメロディーを鼻歌歌いながら見ていたのです。
他にも、いくつかのヴァージョンがテレビで放送されていました。
これはナレーションがないので、完全に音楽と映像でピーターと狼の世界観が作り出されています。
ちなみに、ナレーションでのストーリーはこの動画とは異なります。
僕の大好きなオーボエという楽器は、アヒルの旋律を担当しています。
ということは、オーボエが目立った旋律を拭くときは、アヒルが登場しているという事になります。
ただ、この曲の最後でアヒルがいないにもかかわらずオーボエがアヒルの旋律を弱弱しく演奏する場面があるのです。なぜでしょうか。
それは、オオカミがアヒルを丸のみにしてしまったからで、アヒルがまだオオカミのおなかの中にいるという情景が描写されているからなのです。さすが、プロコフィエフ!
日本では…
日本でピーターと狼が教育テレビで流れることはありませんでしたが、「にほんごであそぼ」というおもしろい番組がありましたよね。野村萬斎が出てきて、ジュゲムジュゲム…って言ってた気がします。
ところ変われば品変わるで、子どもたちが見て育ってきたテレビ番組も、当たり前の話ではありますが、国によって違うんですよね。
ポケモンですら名前が違いますからね(笑)
フランス人と話していて、やっと見つかった共通の話題がポケモンだったりしても、伝わるのはピカチューくらい。海外のポケモンはほとんどみんな名前が違っています。
僕のピーターと狼
個人的な思い出話なのですが、クラシック音楽好きの僕にとって、ピーターと狼には特別な思い入れがあります。
あれは僕が小学生だった頃。
当時僕は別にクラシック音楽が好きな少年ではありませんでした。音楽がかかっていれば、別に聞き流しているくらい。
そんな僕に、母がクリスマスにピーターと狼のCDをプレゼントしてくれたのです。
別に、クラシック音楽が好きでもない僕にとっては( ゚д゚)ハァ?って感じのプレゼントでした。しかも、ナレーションはアンドレ・プレヴィンという指揮者による、オール英語!何を言っているのか全く意味が解りません。
それから、僕はしばらくの間、クラシック音楽のことをむしろ嫌いになってしまったのです(笑)
↑こちらが件のCD。抱き合わせで収録されている、歌劇「グロリア―ナ」の3楽章が鼻水出るほど秀逸なのです。お子様のプレゼントに、1枚どうでしょうか。クラシック音楽嫌いになること請け合いマス。
おわりに
フランスはフランスで、日本は日本で、それぞれの文化的な教育というものがあるんですね。
でも、僕の母の様に、良かれと思ってしたことが、かえって子供に悪い印象を与えてしまう事にもなりかねないので、注意しなくてはいけないのかもしれません。
まぁ、僕の場合、その反動があってか、今ではすっかりクラシックおたくになってしまったのですが^^