フランシウム87

南フランスに住む日本人学生が発信するブログ。

気になる単語を入力して検索してください🌛

【Poppers】ポッパーズって何?と思ったら読んでほしい7個のポイント【フランス】

ポッパーズ(poppers)って聞いたことありますか?

聞いたことなくて、フランスにも住んでいなければ、この記事は必要ありません^^

ただ、Poppersという名前を聞いたことがあったり、見たことがある、特にフランスに住んでいる人には、読んでもらえると嬉しいです。

f:id:bantan19:20200725185030j:plain

 

1.はじめに

まず初めに、Poppersは薬物です

日本では「ラッシュ」という名前で出回っているので、そちらの名前で聞いたことがある人もいるでしょう。欧米ではPoppersとして流通しています。

日本では違法薬物なので、使用はもちろん、所持や販売、譲渡などが禁止されています。違反をすれば、もちろん罰せられます。

しかし、フランスでは違法薬物ではないので、普通に売られています。セックス・ショップでの販売が一般的だそうですが、僕はバーやタバコ屋でも売っているのを見かけました。したがって、フランスで生活していると、日常生活で目にしたり、名前を聞くものなのです。

そういったフランスの気風を背景として、今回はPoppersを正しく理解してもらうためにこの記事を書きました。決して、Poppersの使用を勧めているわけではありませんので、誤解がないように読んでください。

 

2.Poppersとは

Poppersは80年代にセックスドラッグとして広く使用されるまで、主に医療目的でつかわれていました。フランスで多く流通しているPoppersには亜硝酸エステル(nitrites d'alkyle)もしくは亜硝酸アミル(nitrites d'amyle)が含まれていますが、これは血管拡張(vasodilatation)効果があるため、狭心症などの治療薬として使われていました。それが、鼻から吸引することで心拍数が上昇し、酩酊感覚とある種の陶酔感が得られるといわれ、性行為時の使用という、本来の目的から外れた使われ方が広まったのです。

poppasは小瓶に入って販売されるのが一般的です。薬物の効果は短く、2分以上は続きません。(Cadet-Taïrou et al., 2009)

 

 

3.Poppersの効果

主な効果としては以下の3つ。

 

1.男性器の勃起時間の持続

2.肛門括約筋の弛緩

3.射精に至るまでの時間の伸長

 

これを見てわかる通り、Poppersは主に男性をターゲットにしたものであることが分かると思います。しかも、男性同士の性行為に適した効果であったため、80年代では主に男性同性愛者の間でつかわれていました。

現在でも同性愛者の使用が多いそうですが、新たに若年層は同性愛・異性愛に関わらず使用経験が「ある」*1と答えています。(OFDT, 2019)

 

4.違法性

先に書いたとおり、日本でPoppersやラッシュと呼ばれる、亜硝酸エステル等を含む薬物は法律で禁じられています。フランスで簡単に買えるからと言って、日本に持ち込むのは違法です。

しかし、フランスでは2007年にFrançois Fillonによって製造・流通を禁止しましたが2013年にゲイに関係する企業の労働組合Sneg)の訴えで、再度認められることになったのです。

つまり、フランスでは入手・使用・所持・譲渡等が可能で、違法性はありません。(ヨーロッパの国々が一律で許可しているわけではないので注意)

 

5.リスク

専門家は、Poppersによる身体的・精神的依存性はないと言いますが、これはほかの薬物と同じで、依存性はないながらも、実際は繰り返し使うことで習慣化して、なかなかやめられなくなるケースが多いようです。

 

そのほかに、次のような症状が出ることがあります。

頭痛、めまい、吐き気、発汗、皮膚の赤い斑点、目の痛み、光過敏、血圧低下、鼻の痛み

 

また、長期間使い続けることで以下のような症状が出ることがあります。

くしゃみ、鼻汁、鼻の粘膜の損傷、皮膚のトラブル

 

また、皮膚に直接液体が触れると、火傷様に皮膚を損傷します。

 

また、血圧や呼吸数を大きくコントロールする薬物なので、多くの危険を孕んでいます。例えば、アルコールを摂取した時にPoppersを使うと意識障害を起こすことがありますし、ヴァイアグラやシアリスといった類のものと同時に使用すると心不全を起こして死に至ることがあります。

 

6.エイズとの関連性

80年代と言えば、エイズが世界で知られるようになった時代です。

この時代にPoppersも広まったので、Poppersがエイズの拡大を助長したという考えがあります。現在ではPoppersは性行為に関係する(あらゆる)リスクを数えるための目印にはなるが、エイズを広める媒介ではないとされています。(OFDT, 2014.)つまり、エイズの拡大に間接的な影響はあるかもしれないけど、直接エイズを広めることはないということです。

また、血管拡張という特性から、血管の表面がもろくなり、激しい摩擦などで損傷した部分からエイズウィルスをはじめとする病原体が体内に侵入する恐れがある、という「直接的な問題」も同時に挙げられています。

 

7.Poppersの種類

Poppersには、含まれる成分によって4種類に分けられます。(フランスの場合)

それぞれの異なる成分による効果・効能は、Poppersの使用を助長させかねないので、ここでは紹介しません。

特に気を付けてほしいものが"isopropyle"という成分が含まれている製品です。これは長期間継続的に使用することで、目に障害(視力の低下や視野の狭小)をもたらす恐れがあります。発がん性物質でもあります。

また、Poppersの中には認可の下りていない製品も交じって流通しています。認可が下りていない場合は、ラベルに"NF"や"CE"のロゴがありません。こうしたものは何が入っているのかわかりません。

 

おわりに

何度も書いていますが、今回の記事は薬物の使用を助長しようとするものではありません。そうではなく、Poppersは、日本では違法な指定薬物であるのに対し、フランスでは簡単に手に入ってしまうものであるため、事前に正しい知識を持ってほしいと思い、今回の記事を書きました。特に、こういったものは何の前情報を持っていなくても、ある時ふと出会ってしまうものです。知識として、ぜひ知っておいてほしいものです^^

*1:17歳の10%の回答が「経験がある」。18-25歳の3%は「(定期的に)使用している」。