フランシウム87

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【必見!】フランスの大学授業料が値上げ!?

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先日、フランスの首相、エドゥアール・フィリップがこんな発表をしました。

フランスの大学で学ぶ外国人留学生の学費を17倍に引き上げる、と。。。

 

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フランスの学費

驚くほど安いフランスの学費

フランスの学費が安いというのは、当ブログでも繰り返し伝えている通りです。

francium87.hatenablog.jp

 

この学費の安さもフランスで学ぶ利点の一つであると、少なくとも僕はそう考えています。もちろん学費以外にもフランスの大学で勉強することは、学問のレベルにしても、海外に出て幅広い知見を得るという目標にしても、利点がたくさんあります。

 

外国人でも安いって、異例?

ヨーロッパには学費が無料、もしくは驚くべき低価格な国がたくさんあります。しかし、全ての国が同じ学費を外国人留学生にも適応している訳ではありません。

フランスは、自国の学生と外国人留学生の、どちらに対しても同じ低価格の学費で高い水準の教育を提供している国でした。

 

外国人留学生に対する新しい学費の取り決め

今回の発表内容は?

今回、大臣が発表したところによると、2019年から外国人留学生の学費(年間)を従来の170€(20,400円)*1から2,770€(332,400円)に引き上げるそうです。これはlicenceという、日本の学士過程にあたる教育課程の学費です。修士・博士にあたるmaster,doctoratでは、243€(29,160円)から3,770€(452,400円)に値上がりするそうです。その増額率、実に17倍!))

 

www.liberation.fr

なぜ、値上げをするのか?

値上げの理由は、フランスに多くの外国人留学生を呼ぶためだそうです。

実はフランスは世界第3位の外国人留学生受け入れ国でした。英語圏を除くと世界一位です。それだけフランスは外国人留学生にとって魅力的な国だったのです。しかし、その栄光も数年前にオーストラリアに奪われてから、最近のフランスの人気は落ち込むばかり。そうした現状を打開するために、今回の取り決めに至ったというのです。

学費を上げると逆高価な気がするけど?

外国人留学生に対して学費を上げることで外国人留学生を多く呼び込むというのは矛盾している気がします。

これについて政府は、今までより多くの学費を納めてもらう一方で、発展途上の国から来た留学生や、恵まれない環境にいる留学生に対し、今までより多くの返済不要型の奨学金、あるいは学費免除を実現する。と言っています。

また、外国人留学生の数を増やすために、学生ビザ発給の増枠・緩和や、各国に置かれた留学生受け入れ審査機関(キャンパスフランス)に力を入れていくとのこと。

その他にも、英語での授業の増加、フランス語学習講座の増加など、様々な対策が予定されていて、学費増額と並行してフランス政府からの出資も多くなるとの見込みです。

 

早くも反対意見が…

この取り決めに関して、既に2つの学生団体が抗議しています。

その主な理由は、公教育はすべての人にとって平等であるべき(フランス人と外国人に差があってはいけない)、学費を上げることによって得られるはずだった優秀な人材を失う可能性がある、というものです。

 

あなたはどう考えますか?

フランスの大学の学費が上がるというニュースは、これからフランスの国立大学へ留学しようとしている人にとってショッキングなニュースだと思います。

しかし、それは私たち留学生にとって悪いニュースというだけであり、本国フランスの立場から考えるとどうでしょうか。いくつかの問題点をピックアップして紹介します。

増額しても安いフランスの学費

ヨーロッパには学費が無料の国が多いって聞くけど?

そもそも今回の増額があっても、フランスの学費は比較的安いものです。私立大学の学費に国公立が追随するかたちで止まるところなく上昇している日本の学費と比べると、フランスの30万程度の学費はかなり安いと言えます。

先にも書きましたが、ヨーロッパでは多くの国が、自国民に対して格安、もしくは無償の学費を設定しています。しかし、これは外国人留学生には当てはまらないことが多いため、結局留学生は数十万円の学費を払うことになります。

近隣諸国は?

しかし、フランスの近隣諸国に限ってみると面白いことがわかります。

例えば、フランスの両隣のスペインやイタリアの学費は1,000€台にとどまっています。(学科ごとに学費が課される仕組みの学校もあり、その場合多くの学科を選択すればより高額になります。)仮に今回のフランスの値上げが実施されると、フランスが一番学費が安い国から高い国になります。

また、ドイツは外国人留学生を学生に対しても学費が無料の国です。(2017年から順次、州によって外国人留学英に1,500€程度の学費がかかるように変わりつつあります。)

僕個人としては、ヨーロッパの学費設定の背後にはカトリック、プロテスタントの違いがあるような気がします。みんなが助け合う社会のカトリック諸国(フランス・スペイン・イタリアなど)は、何かにつけて平等を謳います。

 

フランス人の負担にはならないのか?

フランスでの外国人留学生の学費負担額が低いということは、その分多額の教育費がフランスの税金で賄われているということになります。これはフランス人からするとあまり面白くないことだと思いますよね。しかし、実際はそうとも限りらないようです。

自由・平等・博愛

「自由・平等・博愛」は言わずと知れたフランスのモットーです。この3つの要素を、フランス人は何かにつけて引き合いに出してきます。

今回の問題に対して学生団体の出したコメントにも、平等の精神が色濃く出ていますね。フランス人はとにかく自由と平等を愛する国民です。その尋常じゃない愛の注ぎ方は、日本人という部外者から見ると心苦しくなるほど。これは僕個人の考えですが、戦後という比較的新しい歴史の中で移民が急激に増えたフランスでは、平等という精神を国民に強く持たせることで国をまとめてきたのだと思います。

なので、今回の学費問題に然り、フランスに住んでいると享受できる住宅手当や社会保障など、フランスの税金が土台となって外国人が受けているサービスであっても、フランス人からすると「公共のサービスは平等なんだからみんなが受けることができて当たり前」という考えが基本になります。

年代ごとによって違う?平等の考え方

しかし、この平等の認識は年代によって多少のズレがあるように感じます。

例えば、若い世代であれば生まれた時から今のような多民族国家のフランスで生きるため、自然と平等の精神を教え込まれてきていると思います。なので、我々外国人が安い学費で大学に通っていても、それは至極当然のことと捉えられます。

しかし、これが年配の方となるとどうでしょうか。もちろんフランスは昔から多民族国家でしたが、今ほど民族が入り乱れるようになったのは比較的最近のことです。他の国、例えばスペインの植民地政策と比較してもそうですし、フランスのピエ・ノワールの問題も20世紀中葉の話と、かなり新しい問題であることがわかります。なので、年配の方と話していると、会話のところどころにそれとなく外国人に対して冷ややかな態度が現れることがあります。決して外国人嫌いという訳ではなく、彼ら・彼女らはあたたかく外国人を迎え入れてくれるのですが、どうも社会問題(特に税金)の話になると外国人の受け入れ政策には小言が漏れてしまうようです。

 

「差別」については、こちらの記事でも書いています。

francium87.hatenablog.jp

逆の視点で考えてみると…

この問題を私たちの問題として考えてみるとどうでしょうか?つまり、僕は日本人なので日本の話として考えると、僕たちが政府に納めた税金のうち、少なくない額が外国人留学生の教育費に充てられると言うことです。

今回の学費値上げが実現したとしても、外国人留学生が負担する額は実際にかかるコストの1/3程度の額だそうです。つまり、学費が値上げされたとしても実費中2/3はフランスの税金で負担してくれているということです。

 

17倍という障壁

今回の値上げ問題で一つの論点となっているのが、17倍という大きな増額率。これは在学中の留学生や、近い将来フランスに留学を希望している学生たちの計画を大きく狂わせることになりかねません。優秀な人材の芽をつぶしてしまう危険性もあるのです。

将来の外国人留学生の数を増やすことが目的の政策であれば、今いる学生たちの学習環境をフォローアップすることも忘れてはいけないと思います。

 

おわりに

僕がフランスでの留学を終えて日本に帰国した矢先に、このニュースです。

フランスの学費の安さは確かに魅力的で、正直僕自身もそこに一つの魅力を感じてフランス留学をしました。しかし、当然ですがフランスでの留学の良い点は学費の安さだけではありません。様々な分野において、フランスは傑出した知識を持っている国です。

今回の学費の値上げが高いとみるか安いとみるか、それは個々人の考え方によると思います。老婆心ながら、フランスでの留学をした身から言わせていただくと、値上げをしたとしてもフランスの教育はお値打ち価格です。

そもそも、今回のニュースは電撃報道のような感じなので、今後軌道修正されることは大いにあり得るはずです。今後も目の離せないトピックですね^^

 

*1:1€=120円で計算