フランシウム87

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日本-フランスの新しい奨学金┃パリ・テロ事件の悲しみを越えて

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きのう大学からのメールで、今年から新しく始まる奨学金制度のお知らせが届きました。

 

フランス、モンペリエで始まる新しい奨学金制度

 

今回新しく始まる奨学金制度。

 

その名も奨学金「自由」!!

 

(フランス語では La bourse Jiyuu)

 

なんと日本語なんですよ。

 

これには理由があるのです。。。

 

 

 

Hugo Sarradeという青年を知っていますか?

 

去年の末、フランスだけでなく世界を震撼させたパリのテロ事件がありましたよね。

 

あの時、犯人が立てこもり多くの被害者が出たバタクランという劇場のコンサートに、モンペリエからも大学生が一人行っていたのです

 

彼の名前がHugo Sarradeです。

 

彼は残念なことに、このテロ事件の被害者となってしまいました。

 

 

 

悲しみに暮れたモンペリエ

 

フランス国内でテロが起きたという事に加え、前途多望な一人の青年がなくなってしまったという事で、事件直後のモンペリエは事では言い表すことができないような悲しい空気がありました。

 

Hugo Sarrade君は僕の通っている大学と同じだったので、Hugo君の遺体が確認されてほどなくして、学校から黙祷の知らせが届きました。

 

今でも黙祷の、あの時の静まり返った学校の光景が頭から離れません。

 

 

 

Hugo君の名前を冠した奨学金制度

 

遺されたHugo君の父であStéphaneさんが中心となって設立した今回の奨学金

 

フランスの新聞、figaro紙にニュース記事として載っていたので翻訳します。

etudiant.lefigaro.fr

 

La bourse Jiyuu - Hugo Sarrade, créée par Stéphane Sarrade en mémoire de son fils tué le 13 novembre, viendra en aide chaque année à un étudiant scientifique montpelliérain désireux d’effectuer un stage au Japon.


 Lorsqu’il est rentré de son sixième et dernier séjour au Japon, Hugo Sarrade, 23 ans, s’était fait tatouer sur le corps le mot «liberté» en japonais - «Jiyuu». Quelques semaines plus tard, le jeune étudiant en master informatique à la faculté des sciences de Montpellier perd la vie au Bataclan, au milieu d’une centaine d’autres victimes. Mais sa mémoire - et son tatouage - sont toujours bien vivants.

 

Ainsi en témoigne le logo de la bourse Jiyuu - Hugo Sarrade, créée par le père du jeune homme, Stéphane Sarrade, avec la faculté des sciences de Montpellier et la Fondation ParisTech. Cette boursevise à contribuer à hauteur de 5 000 euros au stage d’un(e) étudiant(e) scientifique au Japon. «Hugo voulait faire une thèse en intelligence artificielle au Japon après son master. Ce dispositif est une manière de faire vivre son projet», explique Stéphane Sarrade.

«Le logo était une idée de la Fondation ParisTech, et je l’ai trouvée excellente: cette bourse doit donner de la liberté à celui ou celle qui la recevra», raconte Stéphane Sarrade. «L’ouverture d’esprit est l’arme absolue contre l’obscurantisme et la barbarie. Même si c’est très difficile, on essaie de trouver du sens dans ce drame. C’est pourquoi nous développons des projets pour perpétuer la mémoire d’Hugo: monter une bourse étudiante, créer un CD avec sa musique préférée, donner son nom à une Citroên Méhari...»

.....

 «L’idée, si nous avons assez d’argent pour pérenniser cette initiative, ce serait ensuite de créer une deuxième bourse, celle-ci à dimension nationale, centrée sur des étudiants en intelligence artificielle et en robotisation désireux de partir en stage au Japon. Ça aurait plu à Hugo», conclut Stéphane Sarrade, ému.

 

奨学金「自由」ー11月13日に亡くなった息子の追憶として、父・Stéphaneが毎年日本に研修に行きたいと願う理系の学生の手当てを設立する。

 

6回目で、最後となった日本への滞在から帰ってきたHugo(当時23才)は、体に”自由”という日本語のタトゥーをほってきた。数週間後、モンペリエ理工大学で情報のマスターコースにいたこの若い学生は、他の何百という被害者と一緒にバタクラン劇場で命を落とした。しかし彼の思い出はーそして彼のタトゥーもー今でも色あせることはない。

 

このように、ロゴは奨学金とHugo Sarradeの名前を意味している。この奨学金は父であるStéphaneとモンペリエ理工大学、ParisTech基金によって作られた。この5000€の主学金は、日本で研修する学生に送られることになる。Stéphaneは「Hugoはマスターの修了のために、日本の人工知能の研究について論文を書きたがっていた。今回の奨学金の設立は、彼のプロジェクトを続けるための一つの方法なのです」と説明する。

 

「このロゴはParisTechの案なのですが、素晴らしいと思います。この奨学金は日本で研修する学生に”自由”を与えるに違いありませんから」とStéphaneは話す。「心を開くことは、蒙昧と野蛮に対抗する武器です。それが難しいことだとしても、今回の悲劇からそれを見つけ出す努力をしなくてはいけません。そこで、私たちはHugoの記憶を失くさないために、奨学金を設立したり、彼が好きだった曲でCDを作ったり、シトローエンの車に名前を提供したりしたのです…」

 

「理想としては、十分な財源があれば、日本で人工知能やロボット工学を学びたいと考えている学生のために、このイニシアチブを第2回目に続けていきたいです。これは国家規模の話なのです。Hugoも喜ぶことでしょう」

 

 

Hugo君の奨学金は、個人レベルではなく国レベル

 

今回の奨学金の財源は、どうやらお見舞いとして募ったものと大学関係の提供で実現したようですが、これを毎年同じように続けていくというのは大変だと思います。

 

特に、人々の記憶から悲劇というものは意外と早く消え去ってしまうので、今後は国レベルの財源を希望しているところなんですね。

 

僕は、今回の奨学金に賛同してくれる人が多くいて、そしてその人たちがこの悲劇を忘れることなくいてくれればと願っています。

 

 

ちなみに、フランスの奨学金は返済義務なし

 

余談ですが、フランスの奨学金というものは基本的に返済の義務がありません

 

で、だいたいみんな受給できます。

 

日本人であっても。

 

僕は受け取っていないのですが、たとえ海外からの学生であっても奨学金は得られるのです。

 

まぁ簡単に言ってしまえば、みんな「家計の足し」ぐらいの感覚でとらえているんじゃないでしょうか。

 

学年が上がれば受給額も増えていき、他にも出身国や家庭状況なども審査の対象になります。

 

国立大学は授業料0の国、フランス。

 

そんなフランスで、額は決して大きくはないけれど、大きな意義を持った新しい奨学金が生まれました。

 

 

☆この奨学金のその後も追っています。

francium87.hatenablog.jp

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