フランシウム87

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長い?複雑?難しいフランス語を紹介します

フランス語を勉強していると、なんでこんなに単語の書き方が難しいんだろう…と嫌気がさしてくることがあります。

フランス語には2つの向きのアクセント(áとà)や、しっぽが生えたような ç 、別名・中国人の帽子とも呼ばれている â や、よくわからない ä など、たくさんの記号のような文字を使います。

それだけでも難しいのに、フランス語の会話や文章で使われる単語はとてもバリエーション豊か!多くの語彙力がないと本や新聞を読むことができません。

今回は、僕がフランスの大学生活を通して発見した、これぞフランス語らしい!と思えるような難しい単語を集めてみました!誰得の記事ですが、「へぇ~」と思えるような明日つかえるムダ知識をお届けします^^

 

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フランス語最長の単語を求めて

フランス語で最も長い単語をご存知ですか?

フランス語を本格的に勉強したことがある人なら、どこかで聞いたことがある言葉ではないでしょうか。また、ほとんどのフランス語ネイティブの人に同じ質問をすれば、おそらくこの単語を答えることでしょう。

anticonstitutionnellement。意味は「違憲的に」とか「非立憲的に」です。

 

え、これじゃない単語を知っているって?

そんな勉強熱心な方は、きっと2017年にアカデミーフランセーズが認めた「新語」のことを言っているのでしょう!そうです、このanticonstitutionnellementに勝る長さの単語が登場したのです!それが…

intergouvernementalisation!意味は「政府間調整」ですって( ゚Д゚)

 

しかし、僕はこれ以上の長さの単語を発見してしまったんです。しかも新語ではなく昔から存在している単語。

実は生物学を勉強するようになってから、講義の度に文字数の多い単語が沢山出てきたので、これはいつかとんでもない大物が来るぞ…と楽しみにしていたのです。そしたら、出ました。intergouvernementalisationに勝る単語が!それがこちら!

cyclopentanoperhydrophenanthrène。意味は…コレステロールの骨格の一部です(笑)

確かに日常的に使う単語ではありませんが、ちょっと覚えておくとフランス人相手にドヤ顔ができます^^

 

こちらの記事でも長い単語について書いています。

francium87.hatenablog.jp


 

言いにくい!でもフランス語なら普通の発音

 

次に紹介する単語は、同じ鼻母音が多く含まれているので発音がミステリアスなことになっている単語です。

それがensemencementという単語。カタカナで書くと「アンスマンスマン」みたいな感じになります。意味は「播種」といって、種をまいたりするときに使う言葉です。僕はバクテリアを培養するとき、シャーレの上に菌を塗り広げる時などにこの単語を使っていました。

 

鼻母音の難しい言葉と言えば、フランスの作曲家であるモーリス・ラヴェルが作曲した”Pavane pour une infante défunte"(亡き王女のためのパヴァーヌ)です。素晴らしく美しい曲で大好きなのですが、題名を正しく言えたことが一度もありません(笑)


Pavane pour une infante défunte - Seiji Ozawa Saito Kinen Orchestra

 

「亡き王女のためのパヴァーヌ」が収録されたCDは数多くありますが、日本人として聞いておきたいのはやはり小澤征爾とボストン交響楽団のタッグで演奏されたものです。このCDには他にも「ボレロ」や「ラ・ヴァルス」が収録されていて、フランスのエスプリが詰まった1枚なので、持っておいて損はないものです。

 

なかなか聞くことのない言葉ですが、infant(e)というのはかつてのスペイン北部の諸領地で使われていた称号で、王位継承権のない王族の子女を意味します。défunt(e)は「亡くなった」という形容詞で、その語源は「遂行する」という意味にあります。命を最後まで遂行したということで、日本語でいうところの「天寿を全うする」という感じでしょうか。とても文語調な単語です。

 

REの悲劇

大学での勉強は一筋縄ではいかないものでした。元々興味があったとはいえ、フランス語でも日本語でも初めて本格的に挑む分野だったので知らない言葉がたくさん。

忘れもしない、大学生活最初の生物学の授業で習ったことは、動物と植物の細胞のなかにある細胞器官についてでした。

核(noyau)、ミトコンドリア(mitochondrie)などは初見でも何となくわかります。ゴルジ体(appareil de Golgi)も、想像力を働かせればなんとか類推できます。

そんな中で僕の度肝を抜いたのがréticulum endoplasmique。通称REと呼ばれる器官で、日本語では「小胞体」と言います。

僕と机を並べて勉強していたクラスメートたちは、みんな高校を卒業したばかりの若者ばかり。この舌を噛みそうな単語を、なんの苦も無く発音している横で僕は、大変な勉強を始めてしまったものだと思いました。

 

恐竜のような単子葉類

植物が目を出し、最初につける葉の数が1枚なら単子葉類、2枚(一般的にふたばと呼ばれるもの)なら双子葉類と言います。この単子葉類のことをフランス語でmonocotylédoneと言います。読み方は「モノコチレドン」。なんだか、恐竜みたいで格好良くないですか?

ちなみに、双子葉類はdicotylédone「ディコチレドン」と言います。

mono-は「単一」を、di-は「2つ」を表す接頭辞です。ちなみに、恐竜のディノサウルスはdinosaurと書いて「ディノゾー」と読みます。双子葉類と同じようにdi-から始まる言葉ですが、後者は「2つ」を意味しているわけでなく、ギリシャ語のdeinios「恐ろしい」が由来です。

 

 

珍しく”k”を使った単語

私たち人間をはじめとする哺乳類は恒温動物といい、体温を恒常的に保つことができます。なので周りの気温に左右されることなく生活をすることができるのです。

対して、トカゲや蛇などの動物は変温動物と言い、体温が気温の影響を大きく受けます。そのため、爬虫類は寒い冬の間は動けなくなるため冬眠してしまうのです。

変温動物はhoméothermeと言います。homéo-という部分はギリシャ語由来のhomo-と同じで、「同じ」という意味を持ちます。また、thermoの元の意味は「熱い」です。英語でいうところのサーモなので、サーモグラフィーなど日本語でもなじみがある言葉に場でもよく見られます。つまり、常に「同じ」「体温」でいられる動物をhoméothermeと言います。

 

homo-をはじめとする接頭辞の説明はこちらの記事でも書いています。

francium87.hatenablog.jp

francium87.hatenablog.jp

さて、変温動物は何というでしょうか。答えはpoïkilotherme「ポイキロテルム」です。

はじめのpoikilosの部分がギリシャ語で「変化」という意味です。周りの気温によって体温が「変わって」しまう動物の体温調節機構を表しています。

実はフランス語の単語にアルファベットの"k"が使われることはありません。外来語に対して、稀に使われます。つまり、poïkilothermeとは生物の言葉であるのと同時に、ギリシャの香りがする言葉でもあるのです。

 

勉強でも出てくるチーズ

僕が勉強していた分野は微生物学。微生物学では食品の発酵も扱うため、チーズ作りについて学ぶこともあります。しかし、ここで話すチーズは食べるためのものではありません。

フランス人はチーズが大好きなのは、以前もこのブログで書いてある通りです。

francium87.hatenablog.jp

 

では、授業で出てくる食べられないチーズとはなんでしょうか。それは、カマンベールです!よくグラフのでこのようなものを見ますよね。フランスではこういう形のグラフのことをcamembertと呼ぶのです。

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丸い形をしているので英語ではパイ・チャートと呼びます。どこでも食べ物に例えたくなっちゃうものなのでしょうか。

ちなみに、こういう形のグラフも見たことあると思います。フランス語では何と思いますか?

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答えはboîte à moustaches、「ヒゲ箱」です!ムスタッシュと書くのでフランス語っぽいですが、日本語では「箱ひげ図」。あれ、同じじゃん。

 

授業のなかで南仏語!?

南仏にはオクシタン語という言葉があります。今ではあまり話されることがないのですが、田舎のワイン農場などに行くとオクシタン語を話しながら農作業をしている人を見かけたりします。

もちろん僕たち外国人が語学学校で学ぶことはありませんし、日常生活でも滅多に耳にすることがありません。しかし、困ったことに大学の講義のパワーポイントではたまにオクシタン語の一文が出てきたりするのです。その中で最も頻繁に出てきたのが Qu'es aquo?意味はQu'est-ce que c'est?「これは何ですか」です。普通のフランス語で手いっぱいなのに、よくわからない地方言語をねじ込んでくるなんて、本当にフランス人は親切です^^

 

ちなみにフランスでは、ラテン語が書物や話し言葉でもたまに出てくることがあるので、できる限り覚えるようにしましょう。

francium87.hatenablog.jp

 

おわりに

フランス語の勉強は簡単ではありません。しかし、このブログでも繰り返し言っているように、外国語学習の基礎の基礎は単語の暗記です。

もちろん、この記事で紹介したような言葉に出会うことはめったにないので、ここまで特異な単語は覚える必要がありません。しかし、どんな単語が必要なのかは人によって大きく変わります。自分の生活でよく使う単語であれば、難しくても積極的に覚えていきましょう。それが、他の人にはない自分だけの知の財産になるはずです。

 

単語を覚えるのは本当に大切です!効果的な単語の覚え方はこちらの記事で紹介しています。

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